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社会保険・給付

傷病手当金の計算と申請条件【2026年版】

傷病手当金の計算と申請条件【2026年版】

業務外の病気やケガで働けなくなったとき、健康保険から給与のおよそ3分の2が支給される傷病手当金。受給要件、計算方法(標準報酬日額と四捨五入ルール)、待期期間3日の具体的な数え方、 最長1年6ヶ月の支給期間まで、制度の全体像をわかりやすく解説します。

1. 傷病手当金とは

傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ・健保組合)に加入する被保険者が、 業務外の病気やケガで就労不能となった場合に支給される所得保障の制度です。

  • 支給額:標準報酬日額の2/3(約67%)
  • 支給期間:支給開始日から通算1年6ヶ月(最大548日)
  • 待期期間:連続3日間の休業後、4日目から支給

⚠️ 注意:国民健康保険(自営業・フリーランスなど)には傷病手当金の制度はありません。 会社員・公務員など被用者保険の被保険者が対象です。

2. 受給要件(4つすべて必要)

1

業務外の事由による病気やケガであること

業務上・通勤途上の災害は労災保険の対象であり、傷病手当金の対象外です。

2

仕事に就くことができないこと(就労不能)

医師の意見と本人の業務内容を総合的に判断して決定されます。

3

連続3日の待期期間を含み4日以上休業していること

待期期間には有給休暇・土日祝日も含まれます(下記で詳しく解説)。

4

休業期間中に給与の支払いがないこと

給与が支払われていても傷病手当金日額より少ない場合は差額が支給されます。

3. 待期期間の数え方

傷病手当金の支給は連続3日間の休業(待期期間)が完成した翌日(4日目)から始まります。 この3日間は有給休暇・土日祝日・公休を含みます。

ケース結果
成立休①休②休③支給開始支給
不成立休①休②出勤

※ 「不成立」の例では水曜に出勤しているため連続3日が途切れ、待期期間が成立しません。木曜から改めてカウントが必要です。

傷病手当金の待期期間3日間の成立パターンと不成立パターン

(待期期間の成立・不成立パターン)

4. 傷病手当金の計算方法

傷病手当金は、以下の3ステップで計算します。

1

標準報酬日額を計算

標準報酬月額 ÷ 30 →1の位を四捨五入(10円単位に丸め)

2

傷病手当金日額を計算

標準報酬日額 × 2/3 →小数点第1位を四捨五入(円単位に丸め)

3

支給総額を計算

傷病手当金日額 × 休業日数 − 休業中の給料 = 支給総額

傷病手当金の計算3ステップ(標準報酬日額→手当金日額→総額)

(傷病手当金の計算フロー)

5. 標準報酬月額別の早見表

代表的な標準報酬月額ごとの傷病手当金日額の目安です。

標準報酬月額標準報酬日額手当金日額30日分180日分
200,0006,6704,447133,410800,460
240,0008,0005,334160,020960,120
280,0009,3306,220186,6001,119,600
320,00010,6707,113213,3901,280,340
360,00012,0008,000240,0001,440,000
410,00013,6709,113273,3901,640,340
500,00016,67011,113333,3902,000,340
620,00020,67013,780413,4002,480,400
830,00027,67018,447553,4103,320,460

※ 標準報酬日額は「1の位を四捨五入」、手当金日額は「小数点第1位を四捨五入」で計算しています。

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6. 計算例で理解する

例1:標準報酬月額 280,000円・180日休業

条件:標準報酬月額 280,000円、休業日数 180日(待期3日除く)、休業中の給料なし

標準報酬日額 = 280,000 ÷ 30 = 9,333.33... → 9,330円(1の位を四捨五入)

傷病手当金日額 = 9,330 × 2/3 = 6,220 → 6,220円

支給総額 = 6,220 × 180 = 1,119,600円

例2:被保険期間12ヶ月未満・標準報酬月額 360,000円

条件:入社8ヶ月目に発症、標準報酬月額 360,000円、2025年4月以降に支給開始

全被保険者平均 320,000円 vs 本人の 360,000円 → 低い方の320,000円を使用

標準報酬日額 = 320,000 ÷ 30 = 10,666.67... → 10,670円

傷病手当金日額 = 10,670 × 2/3 = 7,113.33... → 7,113円

→ 被保険期間12ヶ月未満のため、全被保険者平均額で上限が適用されます。

7. 被保険期間12ヶ月未満の特例

被保険期間が12ヶ月に満たない場合、以下のいずれか低い方の金額を使って計算します。

比較対象金額
本人の標準報酬月額実際の被保険期間における標準報酬月額の平均
全被保険者平均300,000円(〜2025年3月31日開始分)
320,000円(2025年4月1日〜開始分)

8. 支給が調整・停止されるケース

以下の場合、傷病手当金が調整(減額)または停止されます。

  • 休業中に給与が支払われた場合:手当金日額との差額のみ支給(給与 ≥ 日額なら不支給)
  • 出産手当金を受給中:傷病手当金が出産手当金より多い場合は差額を支給
  • 老齢退職年金を受給中:年金日額が傷病手当金日額以上なら不支給
  • 障害年金を受給中:障害年金日額が傷病手当金日額以上なら不支給
  • 労災保険の休業補償給付を受給中:労災給付が優先されます

9. 支給期間(通算1年6ヶ月)

令和4年(2022年)1月1日以降に支給開始された傷病手当金は、 支給開始日から通算して1年6ヶ月(約548日)が最長です。 途中で出勤した日はカウントされないため、断続的に休業した場合でも通算で1年6ヶ月分の支給を受けられます。

💡 改正ポイント:2021年12月31日以前に支給開始された場合は「支給開始日から暦日で1年6ヶ月」 でしたが、現在は「通算」方式に変更されています。途中復職した期間は支給期間にカウントされません。

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よくある質問(FAQ)

Q. パート・アルバイトでも傷病手当金は受給できますか?
はい、健康保険の被保険者であれば雇用形態を問わず受給できます。 ただし、健康保険に加入していないパート・アルバイト(国民健康保険のみ)の場合は対象外です。 週の所定労働時間が常勤の3/4以上、または従業員51人以上の事業所で週20時間以上勤務するなど、 社会保険の適用条件を満たしている必要があります。
Q. 退職後も傷病手当金を受給し続けることはできますか?
退職日までに被保険期間が継続して1年以上あり、 退職日に傷病手当金を受給中(または受給要件を満たしている)であれば、 退職後も引き続き支給を受けることができます。 ただし、退職日に出勤した場合は継続給付の対象外となるのでご注意ください。
Q. 有給休暇を使った日は傷病手当金の対象ですか?
有給休暇を取得して給与が全額支払われた日は傷病手当金の支給対象外です。 ただし、待期期間(連続3日)のカウントには有給休暇の日も含まれます。 有給休暇を使い切った後に傷病手当金に切り替えるのが一般的なパターンです。
Q. うつ病などメンタルヘルスの不調でも受給できますか?
はい、うつ病・適応障害・パニック障害などの精神疾患でも傷病手当金の対象です。 医師から就労不能の診断を受け、受給要件を満たしていれば支給されます。 実際に傷病手当金の支給件数の中でも精神疾患は上位を占めています。
Q. 傷病手当金に税金はかかりますか?
傷病手当金は非課税です。所得税・住民税はかかりません。 確定申告の必要もありません。ただし、休職中も社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は 通常通り発生し、会社から控除または請求されるのが一般的です。

まとめ

  • 傷病手当金は業務外の病気・ケガで働けなくなった場合に標準報酬日額の2/3が支給される制度。
  • 連続3日の待期期間の後、4日目から支給開始。有給・公休も待期に含まれる。
  • 計算では「1の位を四捨五入」「小数点第1位を四捨五入」の2段階の丸め処理がある。
  • 支給期間は支給開始日から通算1年6ヶ月(2022年1月1日以降の開始分は通算方式)。
  • 被保険期間12ヶ月未満の場合は全被保険者平均(30万/32万円)が上限となる。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 制度内容は改正されることがあります。 実際の支給額や手続きについては、加入している健康保険の保険者(協会けんぽ・健保組合)にご確認ください。 本記事の情報と実際の支給額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
  • ・厚生労働省「傷病手当金について」

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