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福利厚生・制度

産休・育休の給付金を完全解説【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

産休・育休の給付金を完全解説【2026年版】

妊娠がわかった日。嬉しさと同時に、ふと頭をよぎるのは——「産休中、お給料ってどうなるんだろう?」ということ。

安心してください。日本の産休・育休制度は、想像以上に手厚くできています。 2025年4月の法改正で「出生後休業支援給付金」が新設され、条件を満たせば実質手取り100%になるケースも生まれました。 この記事では、もらえるお金の全体像から受給条件・申請手順・振込タイミングまで、出産前に知っておきたいことをまとめました。

産休・育休中にもらえるお金の全体像

日本では、出産から子育てまでの休業期間は大きく「産前産後休業(産休)」「育児休業(育休)」の2つに分かれています。 さらに、最新の制度では父親が産後すぐに育休を取得することを強力に推進しており、これに伴う高い給付金が設定されています。

(1) 産前産後休業と「出産手当金」

  • 期間: 出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から、出産の翌日より56日目まで。
  • 給付額の目安: 標準報酬日額の約3分の2が支給されます。この期間中は健康保険や厚生年金などの社会保険料が免除されるため、実質的な手取り額は休業前の約80%相当になります。

(2) 出生後休業支援給付金(80%給付の特例)

男性の育休取得を促進するため、2025年4月に新設されたこの制度は、2026年に出産を迎える夫婦にとって大きなチャンスです。

80%給付のイメージ図

(※夫婦で協力して育休を取得することで、免税後手取りが実質100%になる手厚い制度です)

  • 条件: 子の出生後8週間以内(女性の場合は産後休業終了後8週間以内)に、配偶者または本人が14日以上の育休を取得すること。
  • 給付額: 最大28日間、通常の育児休業給付金の給付率(67%)が80%に引き上げられます。
  • 隠れたメリット: 80%の給付に加えて社会保険料の免除が適用されるため、この28日間に受け取る金額は、フルタイムで設定されていた元の手取り給与とほぼ同額になります。
  • 月額上限: 302,223円(2025年度)

(3) 通常の育児休業給付金

特例期間が終わった後は、通常の育休給付金のフェーズに入ります。

  • 育休開始から180日まで: 休業開始前賃金の67%が支給されます。2025年8月改定の月額上限は323,811円です。
  • 181日目以降: 給付率が50%に下がります。原則として子が1歳になるまで(保育所に入れない等の事情があれば最長2歳まで延長可能)支給され、月額上限は241,650円です。

見落とされがちですが、産休・育休中は健康保険料・厚生年金保険料などの社会保険料が全額免除されます(本人分・事業主分ともに)。 この免除が実質的に手取りを押し上げる効果があり、給付率67%でも手取りベースでは約80%相当になる主な理由のひとつです。

しかも、これらの給付金はすべて非課税です。確定申告の収入にも含める必要はありません。 つまり「67%しかもらえない」という印象より、実際の手取りはずっと多くなります。

月給別 給付金 早見表

自分の月給でどれくらいもらえるか、下記の概算表でざっくり確認できます。数値はすべて標準報酬月額等級表(協会けんぽ)と公式計算式に基づく概算です。

▼ 出産手当金の概算(単胎:産前42日+産後56日=98日の場合)

月給(額面)標準報酬日額1日あたりの支給額合計(98日)
20万円6,670円4,447円約43.6万円
25万円8,670円5,780円約56.6万円
30万円10,000円6,667円約65.3万円
35万円12,000円8,000円約78.4万円
40万円13,670円9,113円約89.3万円

※計算式:標準報酬日額(標準報酬月額÷30、10円未満四捨五入)×2/3×休業日数。双子の場合は産前98日に延長されます。

▼ 育児休業給付金の月額概算(1ヶ月30日換算)

月給(額面)67%期間(〜180日)月額50%期間(181日目〜)月額
20万円約13.4万円約10万円
25万円約16.7万円約12.5万円
30万円約20.1万円約15万円
35万円約23.4万円約17.5万円
40万円約26.8万円約20万円
約48.7万円以上上限 323,811円上限 241,650円

※計算式:(賃金日額 × 給付率)の1日分 × 30日の概算。賃金日額上限15,430円(2024年8月〜)。非課税+社会保険料免除のため、手取りベースでは約80%相当となります。

月給と出産予定日を入れるだけで、給付総額がわかります

出産手当金・育休給付金・出生後休業支援給付金のタイムラインと受取総額を自動計算します。

誰がもらえる?3つの給付金の受給条件

給付金は申請すれば誰でも受け取れるわけではありません。それぞれの給付金には受給資格があります。

出産手当金の受給条件

  1. 勤務先の健康保険(協会けんぽ等)に加入していること
  2. 産前42日(多胎の場合98日)から産後56日の間に、実際に仕事を休んでいること
  3. 休業中に給与の支払いがない、または支払われても給付金より少ないこと

⚠️ 注意:フリーランス・自営業など国民健康保険に加入している方は出産手当金の対象外です。

育児休業給付金の受給条件

  1. 雇用保険に加入していること(パート・派遣・契約社員も対象)
  2. 育休開始前2年間に、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
  3. 育休中の就業が月10日以下、または就業時間が月80時間以下であること
  4. 子が1歳(延長の場合は最長2歳)になるまで育休を継続する見込みがあること

⚠️ 注意:雇用保険未加入の自営業・フリーランスは対象外です。ただし、お住まいの自治体や国民健康保険組合が独自の助成制度を設けている場合があります。

「パートだから対象外では?」と思う方もいますが、週20時間以上・31日以上の雇用契約があれば雇用保険の加入対象です。 育休前2年間に11日以上働いた月が12ヶ月あれば受給できます。まずは会社の担当者に雇用保険の加入状況を確認してみましょう。

出産育児一時金の受給条件

  • 公的医療保険(健康保険または国民健康保険)に加入していること
  • 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること

フリーランスや自営業の方はどうか。出産育児一時金(50万円)は国民健康保険加入者でも受け取れます。 一方、出産手当金・育児休業給付金は雇用保険・健康保険への加入が前提のため、フリーランスは原則対象外です。 ただし、お住まいの自治体が独自の助成制度を設けている場合があるので、一度確認してみてください。

申請は自動じゃない — 手続きの流れを確認

給付金は自動的に振り込まれません。正しいタイミングで、会社を通じて申請を行うことが重要です。

出産育児一時金

  1. 出産予定の病院・助産院で「直接支払制度」の同意書にサインする(多くの病院で対応)
  2. 病院が保険者(協会けんぽ等)に代わりに申請し、50万円が病院に直接支払われる
  3. 出産費用が50万円未満の場合、差額分が後日口座に返金される

出産手当金

  1. 産休に入る前に、会社の人事・総務担当者に産休の届出をする
  2. 産後休業が終わったら、会社が「健康保険出産手当金支給申請書」に必要事項を記入
  3. 医師または助産師の証明欄も記入してもらう
  4. 会社が協会けんぽ(または加入している健保組合)に申請書を提出

育児休業給付金

  1. 育休開始の1ヶ月前までに会社へ育休取得を申し出る
  2. 会社がハローワークに「育児休業給付金支給申請書」を提出(初回は育休開始後できるだけ早めに)
  3. 以降は2ヶ月ごとに会社が申請書を提出(本人の代わりに手続き)
  4. 支給は申請後約1〜1.5ヶ月で銀行口座に振込

なお、育休中に少しだけ在宅で仕事をしたい場合も、一定の範囲内であれば給付を継続できます。 育休中の就業が月10日以下かつ就業時間が月80時間以下であれば給付金は続きます。 ただし、就業日数に応じて支給額が減額される場合があります。

最初の振込まで3〜4ヶ月、貯蓄の準備を

給付金はそれぞれ異なるタイミングで支給されます。生活費の計画を立てるときの参考にしてください。

給付金受取タイミング備考
出産育児一時金出産後 約1〜2ヶ月直接支払制度では自動差引のため手元に届かない場合が多い
出産手当金産後休業終了後 約1〜2ヶ月産前・産後分がまとめて振込まれることが多い
育児休業給付金(初回)育休開始後 約3〜4ヶ月後最初の2ヶ月分がまとめて振込
育児休業給付金(2回目〜)以降 2ヶ月ごと2ヶ月分まとめて振込が続く
出生後休業支援給付金育休給付金と合算育児休業給付金と同時に支給される

💡 ポイント:育休開始直後の約3〜4ヶ月間は給付金が入らない「空白期間」が生じます。育休前に2〜3ヶ月分の生活費を貯蓄しておくと安心です。

復帰後の時短勤務にも給付がある

完全に休業するだけでなく、2026年は職場復帰後のサポートも充実しています。仕事に復帰した際、育児のために短時間勤務(時短勤務)制度を利用し給与が下がってしまった場合、国から給付金が支給されます。

時短勤務給付金のイメージ

(※柔軟な働き方をサポートする制度です)

  • 対象: 2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている方。
  • 援助額: 時短勤務中に支払われた賃金額の10%が支給されます。

これにより、子どもの送迎などで労働時間を減らしても、給与の大幅な減少をある程度カバーできるため、家計への負担を軽減しながら無理なく両立することが可能になります。

ちなみに、双子や三つ子(多胎妊娠)の場合は給付内容が変わります。 出産手当金の産前休業が42日から98日に延長されるため、給付総額が大きく増えます。 また、出産育児一時金は子ども1人につき50万円なので、双子なら100万円になります。 育児休業給付金の月額自体は変わりません。

産休・育休の給付金は、申請しなければ受け取れません。 早めに会社の人事・労務の窓口に出産予定日を伝え、休業の計画を相談しておきましょう。 赤ちゃんとの新しい生活を、お金の心配なく迎えられますように。

【免責事項】

本記事の給付金の金額・計算例は、2025年8月1日改定の公式情報に基づく概算です。実際の支給額は、標準報酬月額の等級区分・育休取得日数・企業の給与体系等により異なります。正確な金額については、会社の担当者または最寄りのハローワーク・年金事務所にご確認ください。

参考資料

  • ・厚生労働省「育児休業給付の概要」(雇用保険法第61条の4)
  • ・全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産手当金について」
  • ・全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金について」
  • ・厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(2025年4月施行版)

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