失業保険(基本手当)を受給中に早期再就職が決まると支給される再就職手当。 支給残日数に応じた60%・70%の支給率、基本手当日額の上限額、8つの受給要件、 さらに再就職後の賃金が下がった場合に受け取れる就業促進定着手当まで、 制度の全体像をわかりやすく解説します。
1. 再就職手当とは
再就職手当は、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給資格者が、 早期に安定した職業に就いた場合に支給される就職促進給付の一つです。 「早く再就職するほど得をする」仕組みで、失業期間の短縮を促進する制度です。
- 支給率:残日数が2/3以上なら70%、1/3以上なら60%
- 計算式:基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率
- 一括支給:再就職手当は一時金として一括で支給
💡 ポイント:再就職手当を受給し、その後6ヶ月以上継続雇用された場合、 再就職後の賃金が離職前より低ければ就業促進定着手当も追加で受給できます。
2. 支給率60%と70%の違い
再就職手当の支給率は、所定給付日数に対する支給残日数の割合で決まります。 早く再就職するほど高い支給率が適用されます。
| 支給残日数の条件 | 支給率 | 就業促進定着手当の上限 |
|---|---|---|
| 所定給付日数の2/3以上 | 70% | 基本手当日額 × 残日数 × 20% |
| 所定給付日数の1/3以上 | 60% | 基本手当日額 × 残日数 × 40% |
| 所定給付日数の1/3未満 | 支給なし | — |

(支給率60%と70%の比較)
3. 基本手当日額の上限(再就職手当用)
再就職手当の計算に使用する基本手当日額には上限が設けられています。 通常の基本手当の上限額とは異なるのでご注意ください。
| 年齢区分 | 再就職手当用の上限額 |
|---|---|
| 60歳未満 | 6,570円 |
| 60歳以上65歳未満 | 5,310円 |
※ 令和7年8月1日〜の上限額です。毎年8月1日に改定されます。
参考:基本手当の年齢別上限額
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
4. 所定給付日数の早見表
特定受給資格者(会社都合退職等)
| 年齢\被保険者期間 | 1年未満 | 1年〜5年 | 5年〜10年 | 10年〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜35歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜45歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一般の離職者(自己都合退職)
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | なし |
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
5. 受給要件(8つの条件)
再就職手当を受給するには、以下の8つの要件すべてを満たす必要があります。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること
所定給付日数が90日の場合、残日数30日以上が必要です。
1年を超えて勤務することが確実であること
1年以下の雇用契約(更新見込みなし)の場合は対象外です。
待期満了後の就職であること
最初の7日間の待期期間中に就職した場合は受給できません。
給付制限中の最初1ヶ月間はハローワーク等の紹介による就職であること
自己都合退職等で給付制限がある場合、最初の1ヶ月間は紹介就職のみ対象。2ヶ月目以降は制限なし。
離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
関連会社への再雇用も含め、実質的に同一事業主とみなされる場合は対象外。
過去3年以内に再就職手当等を受給していないこと
常用就職支度手当を含む就職促進給付を3年以内に受給した場合は対象外。
受給資格決定前から採用が内定していないこと
ハローワークに求職申込をする前に内定があった場合は不可。
雇用保険の被保険者資格を取得していること
再就職先で雇用保険に加入していることが必要です。

(再就職手当の受給要件フロー)
6. 計算手順と具体例
再就職手当の計算式はシンプルです。
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60% or 70%)
計算例1:自己都合退職・残日数2/3以上
条件:35歳、被保険者期間12年(自己都合退職)、基本手当日額 5,500円
① 所定給付日数 = 120日(10年以上20年未満)
② 2/3以上の条件 = 120 × 2/3 = 80日以上
③ 残日数100日で再就職 → 100日 ≥ 80日 → 支給率70%
④ 再就職手当 = 5,500 × 100 × 70% = 385,000円
計算例2:会社都合退職・残日数1/3以上
条件:45歳、被保険者期間15年(会社都合退職)、基本手当日額 6,570円(上限)
① 所定給付日数 = 270日(特定受給資格者)
② 2/3の条件 = 270 × 2/3 = 180日、1/3の条件 = 90日
③ 残日数150日で再就職 → 90日 ≤ 150日 < 180日 → 支給率60%
④ 再就職手当 = 6,570 × 150 × 60% = 591,300円
計算例3:高額な基本手当日額の場合
条件:50歳、基本手当日額 8,000円(60歳未満の上限6,570円を超過)
注意:再就職手当の計算では上限額 6,570円 が適用されます
→ 基本手当の日額が8,000円でも、再就職手当の計算には6,570円を使用
7. 給付制限と待期期間の注意点
自己都合退職の場合、給付制限期間が設けられます。
| 離職理由 | 待期期間 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 会社都合退職 | 7日間 | なし |
| 自己都合退職(初回) | 7日間 | 2ヶ月 |
| 自己都合退職(5年以内2回以上) | 7日間 | 3ヶ月 |
⚠️ 注意:自己都合退職で給付制限がある場合、制限期間の最初の1ヶ月間は ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ再就職手当が支給されます。 2ヶ月目以降はこの制限は解除されます。
8. 就業促進定着手当
再就職手当を受給した方が、再就職先に6ヶ月以上継続雇用され、 再就職後の賃金が離職前の賃金より低い場合に追加で支給される制度です。
計算式:
就業促進定着手当 =(離職前の賃金日額 − 再就職後6ヶ月間の賃金日額)× 再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数
上限額:
- 支給率70%で再就職手当を受けた場合:基本手当日額 × 残日数 × 20%
- 支給率60%で再就職手当を受けた場合:基本手当日額 × 残日数 × 40%
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9. 申請手続きの流れ
ハローワークで求職申込・受給資格決定
離職票を持参し、失業の認定を受けます。
待期期間(7日間)の経過
求職申込日から7日間は待期期間として基本手当は支給されません。
就職が決定したらハローワークに報告
就職日の前日にハローワークへ届出。「再就職手当支給申請書」を受け取ります。
再就職手当支給申請書の提出
就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークへ提出します。
支給決定・入金
審査後、約1ヶ月程度で口座に振り込まれます。
よくある質問(FAQ)
Q. パート・アルバイトで再就職した場合も対象になりますか?
Q. 再就職手当に税金はかかりますか?
Q. 自営業・フリーランスとして独立した場合は対象ですか?
Q. 再就職手当をもらった後にすぐ退職した場合はどうなりますか?
Q. 再就職手当と失業保険、どちらが得ですか?
まとめ
- 再就職手当は、失業保険の受給中に早期再就職した場合に一括で支給される制度。
- 支給率は残日数が所定給付日数の2/3以上で70%、1/3以上で60%。
- 再就職手当用の基本手当日額には別途上限額がある(60歳未満:6,570円)。
- 受給には8つの要件をすべて満たす必要がある。
- 再就職後6ヶ月以上で賃金が下がった場合、就業促進定着手当も受給可能。
【免責事項】
本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 制度内容は改正されることがあります。 実際の支給額や手続きについては、管轄のハローワークにご確認ください。 本記事の情報と実際の支給額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。
参考資料
- ・ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」
- ・厚生労働省「就職促進給付について」
- ・厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります(令和7年8月1日〜)」
