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就職・退職

再就職手当の計算と受給条件【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

再就職手当の計算と受給条件【2026年版】

失業給付を受給している間に新しい仕事が決まると、残った日数の60〜70%がまとめて支給される—— これが再就職手当です。早く動くほど手当の金額が増える設計で、 さらに再就職後6ヶ月の賃金が下がった場合は就業促進定着手当という追加給付まで用意されています。 ここから先は、再就職手当について知っておきたい事実を、ひとつずつ言い切っていきます。

再就職が早いほど、もらえる額は増える

再就職手当は、雇用保険(失業保険)の基本手当を受給中の人が安定した職業に就いたときに支給される就職促進給付の代表格。失業期間の長期化を防ぐために、 「早期に再就職した人ほど、残った給付日数の大きな割合が手当として戻ってくる」という金銭インセンティブが組み込まれています。 手当は一時金として一括で支給されます。

  • 計算式:基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60% または 70%)
  • 支給率:残日数が所定給付日数の2/3以上なら70%、1/3以上なら60%
  • 支給方法:就職後に申請して一括で振り込まれる

💡 ポイント:再就職手当は非課税。所得税も住民税もかからず、確定申告で所得として計上する必要もありません。 受給後6ヶ月以上継続雇用され、再就職後の賃金が離職前より低ければ、追加で就業促進定着手当も受給できます。

「失業保険を最後まで満額もらい切るのと、途中で再就職手当に切り替えるのと、結局どちらが得なのか」—— 多くの人が一度は考える疑問です。答えはシンプルで、残日数の多いタイミングで再就職すれば70%の支給率が適用されるため、給付の取りこぼしは小さく、しかも安定収入が早く戻ってきます。 さらに就業促進定着手当も組み合わさるなら、金銭面でも早期再就職のメリットが上回るケースが大半。失業期間が長引くほど精神的にも辛くなることを考えると、早めに動く価値は十分です。

「2/3 残せば 70%」が、最大のしきい値

支給率を 60% にするか 70% にするかは、所定給付日数に対して残日数がどれくらい残っているかで自動的に決まります。 境目は2/31/3の2本のラインです。

支給残日数の条件支給率就業促進定着手当の上限
所定給付日数の2/3以上70%基本手当日額 × 残日数 × 20%
所定給付日数の1/3以上60%基本手当日額 × 残日数 × 40%
所定給付日数の1/3未満支給なし
再就職手当の支給率60%と70%の比較図

(支給率60%と70%の比較)

所定給付日数は、離職理由と被保険者期間・年齢で決まります。会社都合退職(特定受給資格者)の方が圧倒的に手厚く、自己都合より長い給付日数が用意されています。

所定給付日数:特定受給資格者(会社都合退職等)

年齢\被保険者期間1年未満1年〜5年5年〜10年10年〜20年20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30〜35歳90日120日180日210日240日
35〜45歳90日150日180日240日270日
45〜60歳90日180日240日270日330日
60〜65歳90日150日180日210日240日

所定給付日数:一般の離職者(自己都合退職)

被保険者期間給付日数
1年未満なし
1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

2つの典型的なケースで、具体的に数字を当ててみましょう。

計算例①:自己都合退職・残日数2/3以上で 70%

条件:35歳、被保険者期間12年(自己都合退職)、基本手当日額 5,500円

所定給付日数 = 120日(10年以上20年未満)

2/3以上の境界 = 120 × 2/3 = 80日

残日数100日 ≥ 80日 → 支給率70%

再就職手当 = 5,500 × 100 × 70% = 385,000円

計算例②:会社都合退職・残日数1/3以上で 60%

条件:45歳、被保険者期間15年(会社都合退職)、基本手当日額 6,570円(上限)

所定給付日数 = 270日(特定受給資格者)

2/3 = 180日、1/3 = 90日

残日数150日 → 90日 ≤ 150日 < 180日 → 支給率60%

再就職手当 = 6,570 × 150 × 60% = 591,300円

計算上の日額には、別の上限が用意されている

計算式に出てくる「基本手当日額」には、実は2 つの上限があります。 ひとつは普段の失業給付で使う通常の上限。もうひとつが、再就職手当の計算専用にもう一段低く設定された上限です。 高給取りで基本手当日額が大きい人ほど、この差にぶつかります。

年齢区分再就職手当用の上限額
60歳未満6,570円
60歳以上65歳未満5,310円

※ 令和7年8月1日〜の上限額です。毎年8月1日に改定されます。

参考までに、通常の基本手当(失業給付)の上限はもう少し高く設定されています。

年齢区分基本手当日額の上限
30歳未満7,255円
30歳以上45歳未満8,055円
45歳以上60歳未満8,870円
60歳以上65歳未満7,623円

計算例③:高額な基本手当日額の場合

条件:50歳、基本手当日額 8,000円(60歳未満の再就職手当用上限6,570円を超過)

→ 失業給付の日額は8,000円のままでも、再就職手当の計算には6,570円が適用される

つまり高給取りほど、ここの上限差が再就職手当の額を抑える方向に働く。

あなたの基本手当日額・残日数で、再就職手当を試算してみる

基本手当日額・所定給付日数・残日数を入力するだけで、再就職手当の金額を即時計算できます

8 つの条件は、1 つでも欠けると支給はない

金額の計算が済んでも、もらえる前に通過しなければならない関門があります。 再就職手当の受給条件は8 つすべてを同時に満たす必要があり、どれか1つでも欠ければ支給はゼロです。

1

基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること

所定給付日数が90日の場合、残日数30日以上が必要です。

2

1年を超えて勤務することが確実であること

1年以下の雇用契約(更新見込みなし)の場合は対象外です。

3

待期満了後の就職であること

最初の7日間の待期期間中に就職した場合は受給できません。

4

給付制限中の最初1ヶ月間はハローワーク等の紹介による就職であること

自己都合退職等で給付制限がある場合、最初の1ヶ月間は紹介就職のみ対象。2ヶ月目以降は制限なし。

5

離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと

関連会社への再雇用も含め、実質的に同一事業主とみなされる場合は対象外。

6

過去3年以内に再就職手当等を受給していないこと

常用就職支度手当を含む就職促進給付を3年以内に受給した場合は対象外。

7

受給資格決定前から採用が内定していないこと

ハローワークに求職申込をする前に内定があった場合は不可。

8

雇用保険の被保険者資格を取得していること

再就職先で雇用保険に加入していることが必要です。

再就職手当の受給要件フローチャート

(再就職手当の受給要件フロー)

ここで気をつけたいのが、自己都合退職時の給付制限期間です。条件④に書かれている「給付制限中の最初1ヶ月間はハローワーク等の紹介が必要」というルールは、実務でつまずきやすいポイント。

離職理由待期期間給付制限
会社都合退職7日間なし
自己都合退職(初回)7日間2ヶ月
自己都合退職(5年以内2回以上)7日間3ヶ月

⚠️ 注意:自己都合退職で給付制限がある場合、制限期間の最初の1ヶ月間は ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ再就職手当が支給されます。 2ヶ月目以降はこの制限は解除されます。

雇用形態についての疑問もよく聞かれます。パート・アルバイトでも、雇用保険の被保険者となり1年を超えて勤務する見込みがあれば対象です。 雇用保険に加入しない短時間の働き方の場合は、再就職手当ではなく「就業手当」(基本手当日額の30%)の対象になります。自営業・フリーランスとして独立するケースも、待期満了後で1年を超えて事業継続が確実なら受給可能。ただし、受給資格決定前から事業の準備を進めていた場合は対象外になる点に注意が必要です。

再就職して半年後、もう 1 通の給付が届く

再就職手当だけで終わりではありません。再就職後に6ヶ月以上継続雇用され、 その間の賃金が離職前より低い場合、追加で就業促進定着手当が支給されます。 転職で給料が下がってしまった人を、もう一度国が後押ししてくれる仕組みです。

計算式:

就業促進定着手当 =(離職前の賃金日額 − 再就職後6ヶ月間の賃金日額)× 再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数

上限額:

  • 支給率70%で再就職手当を受けた場合:基本手当日額 × 残日数 × 20%
  • 支給率60%で再就職手当を受けた場合:基本手当日額 × 残日数 × 40%

ちなみに、再就職手当をもらった後に短期間で退職してしまっても、再就職手当そのものを返還する必要はありません。 ただし、最初から短期で辞めるつもりで申請した場合は不正受給とみなされる可能性があり、その場合は返還どころか3倍の追加処分(3倍返し)の対象になります。 また、6ヶ月の継続雇用要件を満たせなかった場合、就業促進定着手当はもらえなくなります。

申請は 1 ヶ月以内——手続きの流れと注意点

最後に、もらうための事務手続き。再就職手当の申請は、就職日の翌日から1ヶ月以内に動く必要があります。タイミングを逃すと申請できなくなるので、就職が決まったら速やかにハローワークに連絡を。

1

ハローワークで求職申込・受給資格決定

離職票を持参し、失業の認定を受けます。

2

待期期間(7日間)の経過

求職申込日から7日間は待期期間として基本手当は支給されません。

3

就職が決定したらハローワークに報告

就職日の前日にハローワークへ届出。「再就職手当支給申請書」を受け取ります。

4

再就職手当支給申請書の提出

就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークへ提出します。

5

支給決定・入金

審査後、約1ヶ月程度で口座に振り込まれます。

再就職手当は、早く動けば動くほど手当が増える設計の制度。失業給付の残り日数があるうちに動くか、それとも納得のいく仕事に時間をかけるか—— 意思決定の前に、ぜひ自分のケースで具体的な数字を試算しておきましょう。手当の金額が見えると、選択の輪郭がぐっとクリアになるはずです。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 制度内容は改正されることがあります。 実際の支給額や手続きについては、管轄のハローワークにご確認ください。 本記事の情報と実際の支給額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」
  • ・厚生労働省「就職促進給付について」
  • ・厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります(令和7年8月1日〜)」

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