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社会保険・給付

高年齢雇用継続給付の計算と申請【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

高年齢雇用継続給付の計算と申請【2026年版】

2025年4月、高年齢雇用継続給付の制度が大きく変わりました。最大支給率が長年の15%から10%へ引き下げられ、 旧制度で受給していた人と、これから60歳になる人とで、もらえる金額の前提が変わってしまっています。 本記事では、2025年4月の制度改正を中心軸に据えて、自分にどちらが適用されるのか、 賃金がどれだけ下がったら支給対象になるのか、年金との調整はどうなるのかを順番にたどっていきます。

2025年4月、何が変わったのか——支給率の上限が「15% → 10%」へ

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者が、賃金が60歳到達時と比べて75%未満に下がった場合に支給される、長年使われてきた制度です。 2025年4月1日に施行された改正で、その中身が3つの軸で動きました。

項目旧制度(R7.3.31以前)新制度(R7.4.1以降)
最高支給率15%10%
最高率対応の低下率61%以下64%以下
在職老齢年金の停止上限標準報酬月額の最大6%標準報酬月額の最大4%

💡 経過措置:令和7年3月31日以前に60歳に達した方(受給資格を満たした方)は、 引き続き旧制度(最高支給率15%)が適用されます。

自分はどちらの制度?——「60歳到達日」が分岐点

新旧どちらの支給率が適用されるかを決めるのは、「自分が60歳に達した日」。 令和7年3月31日以前に60歳に達して受給資格を満たした人は、引き続き旧制度(最高15%)で計算されます。 令和7年4月1日以降に60歳になった人は、今後ずっと新制度(最高10%)が適用されます。 いまもらっている人は変更ナシ、いまから対象になる人は新ルール、というのが基本的な切り分けです。

定年後の再雇用——たとえば60歳で定年を迎え、嘱託社員や契約社員として同じ会社に継続雇用される、というのは この制度のもっとも一般的なケースです。雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、賃金が60歳時の75%未満に下がっていれば、 高年齢雇用継続基本給付金の対象になります。雇用形態は問わず、パート・アルバイトでも、週20時間以上で雇用保険に加入していればOKです。

計算は、60歳時の賃金と現在の賃金から始まる

この給付には2種類があり、再就職経路の違いで使い分けます。

種類対象者主な要件
高年齢雇用継続基本給付金基本手当を受給せずに継続雇用された方被保険者期間5年以上
高年齢再就職給付金基本手当受給後に再就職した方算定基礎期間5年以上+残日数100日以上

計算はシンプルに3ステップで進みます。

1

賃金の低下率を計算

低下率(%) = 60歳以後の各月の賃金額 ÷ 60歳到達時の賃金月額 × 100

2

支給率を早見表から確認

低下率に対応する支給率を、後述の早見表で確認します。

3

支給額を計算

支給額 = 60歳以後の各月の賃金額 × 支給率

支給額 = 60歳以後の賃金 × 支給率

※ 支給限度額 386,922円を超える賃金の場合は不支給

賃金が64%まで下がれば最大支給、75%を超えれば対象外

計算の核心が、賃金低下率と支給率を結びつける早見表です。新制度では、賃金が60歳時の64%以下まで下がれば最大の10%が支給され、低下が緩やかになるにつれ支給率も段階的に下がり、75%以上では支給ゼロになります。

賃金の低下率支給率賃金の低下率支給率
75%以上0%(不支給)69.5%4.60%
74.5%0.39%69.0%5.06%
74.0%0.79%68.0%5.99%
73.0%1.59%67.0%6.95%
72.0%2.42%66.0%7.93%
71.0%3.28%65.0%8.95%
70.0%4.16%64.0%以下10.00%
高年齢雇用継続給付の支給率早見表(新制度・旧制度比較)

(支給率早見表 — 新制度と旧制度の比較)

参考までに、旧制度(最高15%)の支給率も並べておきます。同じ賃金低下でも、新制度のほうが2/3程度に圧縮されているのがわかります。

賃金の低下率支給率賃金の低下率支給率
75%以上0%68.0%6.73%
74.0%0.88%66.0%8.91%
72.0%2.72%64.0%11.23%
70.0%4.67%62.0%13.70%
61.0%以下15.00%

具体的に金額を当ててみると、改正の影響が見えてきます。

60歳後の賃金低下率支給率支給額(月額)
26万円86.7%(≥75%)0%不支給
20万円66.67%約7.27%約14,540円
18万円60%(≤64%)10%18,000円

※ 60歳時賃金月額30万円のケース。新制度(令和7年4月以降)で計算。

60歳時と現在の賃金で、自分の給付額を確かめる

60歳時の賃金と現在の賃金を入力するだけで、給付額を即時計算。新旧制度の比較にも対応

もう一つの制度——基本手当受給後に使える「高年齢再就職給付金」

ここまでは「基本手当を受給せずにそのまま継続雇用」のケースを念頭に解説してきました。 もうひとつの選択肢が、いったん退職して失業給付(基本手当)を受給した後に再就職した人向けの高年齢再就職給付金です。 基本要件に加えて、追加で3つの条件をクリアする必要があります。

1

基本手当の支給残日数が100日以上あること

100日未満では対象外です。

2

1年以上継続雇用される安定した職業に就いていること

短期の雇用では対象になりません。

3

再就職手当を受給していないこと

再就職手当との併給はできません。

基本手当の支給残日数支給期間
200日以上2年間(65歳到達月まで)
100日〜199日1年間(65歳到達月まで)

⚠️ 重要:高年齢再就職給付金と再就職手当は併給できません。 どちらか一方を選択する必要があります。一般的には再就職手当の方が有利になるケースが多いので、 ハローワークでシミュレーションしたうえで判断するのが安全です。

ちなみに、本人の過失・病気・休業・育児・介護などの理由で賃金が一時的に減額された月については、 減額分を加算した「みなし賃金」を使って低下率を計算する仕組みも用意されています。 本来の賃金水準で評価することで、休業を理由とした不利が出ないようにする配慮です。

被保険者期間の通算ルールにも触れておきましょう。離職日の翌日から1年以内に雇用保険を再取得した場合は、前後の被保険者期間を通算できます。 ただし、その間に基本手当を受給していた場合は、その受給資格に係る離職日以前の期間は通算できなくなる点に注意してください。

在職老齢年金との調整と、申請のしかた

最後に、もうひとつ忘れてはいけないのが在職老齢年金との調整です。 高年齢雇用継続給付を受け取ると、同時に在職老齢年金が一部支給停止されます。停止される割合の上限は、制度改正で次のように下がりました。

制度年金停止の上限
旧制度標準報酬月額の最大6%
新制度標準報酬月額の最大4%

新制度では年金停止の上限も下がっているので、給付率が下がった分は年金側の取り戻しでわずかに緩和される設計です。 とはいえ、給付+年金+賃金のトータルで生活設計を立てる必要があるのは変わりません。 ちなみに、高年齢雇用継続給付そのものは非課税です。所得税・住民税はかからず、確定申告で計上する必要もありません。

申請の流れは次の3ステップ。基本的には事業主が代行してくれます。

1

初回申請

最初の支給対象月の初日から4ヶ月以内にハローワークへ提出。原則として事業主が代行します。

2

定期申請

原則2ヶ月ごとにハローワークへ支給申請を行います。

3

入金

支給決定日から約1週間で口座に振り込まれます。

高年齢雇用継続給付の申請フロー図

(高年齢雇用継続給付の申請フロー)

この給付は65歳の誕生月で終了します。65歳以降は高年齢被保険者として雇用保険に加入し、 離職した場合には別途「高年齢求職者給付金」(基本手当日額の30日分または50日分の一時金)を受給できる仕組みになっています。 60歳から65歳までは「給付+賃金+年金」、65歳以降は「年金+場合により求職者給付」と、必要に応じて使う制度が切り替わる設計です。

2025年4月の改正で支給率が下がったとはいえ、対象になる人にとっては依然として大きな下支え。気になる方は、 60歳時の賃金と現在(または見込み)の賃金を入れて、計算ツールで自分のケースをシミュレーションしておきましょう。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 制度内容は改正されることがあります。 実際の支給額や手続きについては、管轄のハローワークにご確認ください。 本記事の情報と実際の支給額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・ハローワークインターネットサービス「高年齢雇用継続給付について」
  • ・厚生労働省「高年齢雇用継続給付の見直しについて(令和7年4月施行)」
  • ・厚生労働省「雇用保険法の改正について」

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