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税金・計算

一時所得の計算と確定申告【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

一時所得の計算と確定申告【2026年版】

競馬で当てた払戻金、生命保険の満期金、商店街の福引きの賞金—— 日常で「たまたま手にしたお金」は、税法上一時所得という独自のカテゴリに入ります。 最大50万円の特別控除1/2課税という、給与所得などにはない強力な優遇が用意されている一方で、 宝くじのように全額非課税のものや、逆に源泉分離課税で確定申告ができないものもあり、扱いはまちまち。 本記事では、よくある5つの実例に沿って、一時所得という制度を一緒に読み解いていきます。

一時所得は「税のご褒美ゾーン」——50万円控除+1/2課税の二重優遇

一時所得とは、所得税法第34条で定義された、営利を目的とする継続的行為以外から偶発的に発生する所得のこと。 労務の対価でもなく、資産の譲渡対価でもない、いわば「臨時収入」の総称です。 この所得には、給与所得や事業所得にはない二段階の優遇が用意されています——収入から最大50万円を引き、さらに残りの半分だけを課税するルールです。

1

一時所得の金額を計算

総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)

2

課税対象額を算出(1/2課税)

一時所得の金額 × 1/2 = 他の所得と合算する金額

3

他の所得と合算して総所得金額を求める

給与所得等 + 一時所得(1/2後)= 総所得金額

4

所得税額を計算

総所得金額(千円未満切捨て)× 税率 − 控除額 = 所得税額

5

復興特別所得税を加算

所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税(2037年まで)

💡 ポイント:一時所得は50万円の特別控除+1/2課税の二重優遇があるため、収入が50万円以下なら特別控除内に収まり、税金はゼロになります。

合算後の総所得には、他の所得と同じく累進税率がかかります。

課税される所得金額税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000~3,299,000円10%97,500円
3,300,000~6,949,000円20%427,500円
6,950,000~8,999,000円23%636,000円
9,000,000~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
一時所得の課税計算フロー(5ステップ)

(一時所得の計算フロー)

具体的にどんな所得が一時所得に該当するかは、次の表に整理されているとおりです。

種類具体例
懸賞・福引き商店街の福引き、クイズ番組の賞金、宝くじの当選金(※宝くじは非課税)
競馬・競輪等の払戻金競馬、競輪、競艇、オートレースの払戻金(営利目的の継続的行為を除く)
生命保険の一時金生命保険の満期保険金、損害保険の満期返戻金
法人からの贈与法人からもらった金品(業務に関するもの・継続的なものを除く)
遺失物の報労金遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受ける報労金
交付金の未使用分資産の移転等の費用に充てるための交付金で、目的外使用した部分
一時所得に該当する6つの具体例

(一時所得の具体例イメージ)

ここからは、よく耳にする実例ごとに具体的な税額を見ていきましょう。

競馬の払戻金で、200万円勝ったときの税金

週末の競馬場で、馬券代10万円を投じて200万円の払戻金を手にしたとします。差し引き190万円の儲け。 この金額がそのまま税金の対象になるわけではありません——5ステップを当てはめてみます。

条件:払戻金 200万円、馬券代(経費)10万円、他の所得(給与所得)400万円

一時所得 = 200万 − 10万 − 50万(特別控除)= 140万円

課税対象額 = 140万 × 1/2 = 70万円

総所得金額 = 400万 + 70万 = 470万円

所得税 = 470万 × 20% − 427,500 = 512,500円

復興特別所得税 = 512,500 × 2.1% = 10,762円

合計税額:523,262円(一時所得がなければ372,500円 → 差額は約15万円)

ここで注意したいのが、経費にできるのは「当たった馬券の購入費だけ」だということ。 その日に外した馬券(ハズレ馬券)の費用は、原則として経費に含められません。 ただし、最高裁平成29年判決では、競馬の馬券購入が「網羅的・機械的に大量・継続的に行われ、ほぼ毎年利益を上げている」と認められた事例で、 その活動全体が雑所得として扱われ、ハズレ馬券も経費に含められた例外があります。 通常の趣味の範囲では一時所得、ということは押さえておきましょう。

生命保険の満期金は、儲けた分だけが対象

20年積み立ててきた生命保険が満期を迎え、500万円が口座に振り込まれた——というケース。 ここで税金がかかるのは、500万円全額ではなく「儲けた金額」だけです。

条件:満期保険金 500万円、払込保険料総額 400万円、他の所得 300万円

一時所得 = 500万 − 400万 − 50万 = 50万円

課税対象額 = 50万 × 1/2 = 25万円

総所得金額 = 300万 + 25万 = 325万円

保険の利益100万円に対して、課税対象はわずか25万円。1/2課税の恩恵が大きい例です。

ポイントは、経費として引けるのは「これまで払い込んだ保険料の総額」であること。 20年間で400万円払い、500万円戻ってきたなら、差額の100万円が一時所得計算の出発点になります。 ひとつ気をつけたいのが、契約者と保険金の受取人が違う場合。 この場合は一時所得ではなく贈与税(または相続税)の対象になるので、保険証券の名義を一度確認しておきましょう。

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懸賞・福引は、50万円以内ならゼロのまま終わる

商店街の福引きで30万円分の旅行券が当たった、テレビ番組のクイズで20万円の賞金を手にした——こうしたケースは典型的な一時所得です。 ただし、50万円の特別控除のおかげで、収入が50万円以内ならそもそも税金は発生しません

条件:懸賞の賞金 30万円、経費 0円

一時所得 = 30万 − 0 − 30万(特別控除:収入の範囲内)= 0円

特別控除50万円以内なので、一時所得はゼロ。確定申告も不要です。

では、競馬の払戻金30万円と懸賞金40万円が同じ年にあったらどうなるか。一見、それぞれ50万円以内に収まっているから無税のように見えますが、答えは違います。 特別控除50万円は、その年の一時所得全体に対して1回だけ適用されるルール。 合計70万円から50万円を引いた20万円が一時所得となり、1/2課税で10万円が他の所得に合算されます。 「それぞれから50万円ずつ引ける」と勘違いしやすい点なので、要注意です。

収入金額ごとの税額目安をまとめると次のとおりです(他の所得なし、経費0円の前提)。

一時所得の収入特別控除後課税対象(1/2)税額概算
50万円0円0円0円
100万円50万円25万円約12,700円
200万円150万円75万円約38,200円
500万円450万円225万円約127,500円
1,000万円950万円475万円約527,500円
2,000万円1,950万円975万円約1,752,500円

※ 経費0円、他の所得なし、基礎控除48万円適用、復興特別所得税2.1%含む概算です。実際の税額は他の所得との合算により異なります。

一時所得じゃないものたち——宝くじ、暗号資産、源泉分離課税

「一時所得らしいけど、実は違う」というケースもあります。代表例は宝くじと暗号資産、そして源泉分離課税の対象になるもの。 それぞれ扱いがまったく違うので、整理しておきましょう。

まず宝くじ。当選金は所得税も住民税もかからない、完全非課税です(当せん金付証票法第13条)。 1等7億円が当たっても、税務署からの請求は1円もありません。ただし当選金を家族や友人に分けると、受け取った側に贈与税がかかります。 「みんなで分けよう」と思った場合は、共同購入の証拠を残しておく、最初から共同名義で買うなどの対策が必要です。

次に暗号資産(仮想通貨)。ビットコインで儲かった、と聞くと「一時所得じゃないの?」と思いがちですが、国税庁の見解では原則として雑所得です。 暗号資産の売買は「営利を目的とする継続的行為」とみなされ、一時所得の50万円控除や1/2課税は適用されません。 他の所得と合算され、累進税率がそのままかかります。投資的に儲けた人にとっては、税負担が重く感じる扱いです。

最後に、源泉分離課税になる一時所得があります。これは受け取り時にすでに20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が天引きされていて、確定申告の対象外になるパターンです。

  • 懸賞金付預貯金の懸賞金等
  • 一時払養老保険等の差益(保険期間5年以内のもの等)
  • 一時払損害保険等の差益(保険期間5年以内のもの等)

※ 源泉分離課税の場合は確定申告ができません(他の所得と合算して税率を下げることも不可)。

確定申告は本当に必要?——3問でわかる判定フロー

ここまで読んで、自分のケースで申告が必要かどうかは、次の3問で判定できます。

Q1:一時所得の総収入は50万円以下ですか?

→ はい → 特別控除内なので申告不要

→ いいえ → Q2へ

Q2:源泉分離課税の対象ですか?(懸賞金付預貯金、5年以内の一時払養老保険等)

→ はい → 20.315%が源泉徴収済みのため申告不要(申告不可)

→ いいえ → Q3へ

Q3:給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円以下ですか?

→ はい → 所得税の申告不要(ただし住民税の申告は必要な場合あり)

→ いいえ → 確定申告が必要

⚠️ 注意:「給与以外の所得20万円以下は申告不要」は所得税に限った話です。 住民税にはこの特例がないため、市区町村への住民税申告が必要な場合があります。

一時所得は、優遇が手厚いぶん、当てはまるかどうかの線引きがいちばん大切。気になる金額が手元にあるなら、 まずは50万円の特別控除に収まるかどうかを確認し、必要に応じて計算ツールで実際の税額を試算してみてください。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 税法は毎年改正されるため、今後変更の可能性があります。 実際の税額・手続きについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 本記事の情報と実際の税務処理が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・国税庁「No.1490 一時所得」
  • ・国税庁「No.2260 所得税の税率」
  • ・国税庁「確定申告が必要な方」
  • ・国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」

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