CalcEasy
ブログ一覧に戻る
税金・計算

贈与税の計算と非課税枠を完全解説【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

贈与税の計算と非課税枠を完全解説【2026年版】

「子の住宅資金を出してあげたい」「孫の教育費を一括で渡したい」「毎年少しずつ生前贈与しておきたい」—— 贈与は、目的によって使える非課税枠がまるで違う制度です。 年110万円までの暦年贈与、最大1,000万円の住宅資金特例、1,500万円の教育資金特例…… ここからは、よくある6つの贈与シーン別に、どの制度をどう使えばいくらまで非課税で渡せるのかを順番に見ていきます。 ご自分のケースに近いところから読んでいただいて構いません。

子どもや孫にコツコツ、毎年贈りたいとき

いちばん多いのが、このパターンです。基本となるのが暦年課税と呼ばれる方式。 贈与税の申告書を提出しない限り、原則すべての贈与にこちらが適用されます。 計算式はシンプルで、1月1日〜12月31日までに受け取った贈与の合計から、 基礎控除の110万円を引いた残額に税率を掛けるだけです。

贈与税額 = (贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額

つまり、年間110万円以下の贈与は非課税で、申告も不要。 毎年こつこつ渡していくスタイルなら、ここをまず押さえておけば十分です。

⚠️ 2024年改正の重要ポイント:2024年1月1日以降の贈与から、相続前の持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。 亡くなる前7年以内に行われた暦年課税の贈与は、原則として相続財産に加算されます (延長4年分は合計100万円まで除外)。「駆け込み贈与」は通用しなくなったので、長期計画で進めるのが鉄則です。

110万円を超える場合の税率には、ふたつのパターンがあります。父母・祖父母など直系尊属から、その年の1月1日時点で18歳以上の子・孫への贈与には、 税負担が軽い「特例税率」が使えます。

課税価格(基礎控除後)特例税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

一方、兄弟間や夫婦間の贈与、あるいは受贈者が18歳未満の場合は、 税負担が重くなる「一般税率」が適用されます。同じ500万円でも、続柄と年齢によって税額が変わってしまうのです。

課税価格(基礎控除後)一般税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

特例税率と一般税率の比較チャート

(特例税率〈青〉と一般税率〈橙〉の税率ステップ比較。受贈者の年齢・続柄によって適用される税率が異なります)

実際にどれくらい税金が変わるのか、3つの典型例で確かめてみましょう。

例①:親(60歳)から子(30歳)へ500万円を贈与(特例税率)

課税価格 = 500万円 − 110万円(基礎控除)= 390万円

贈与税 = 390万円 × 15%(特例税率)− 10万円(控除額)= 48.5万円

例②:兄から弟(25歳)へ500万円を贈与(一般税率)

課税価格 = 500万円 − 110万円 = 390万円

贈与税 = 390万円 × 20%(一般税率)− 25万円(控除額)= 53万円

※ 同額でも関係・年齢によって税額が異なります

例③:年間110万円以内の贈与(非課税)

課税価格 = 100万円 − 110万円 = 0円以下 → 贈与税ゼロ、申告不要

ひとつ気をつけたいのが、「毎年110万円ずつ10年間贈与する」という契約を最初から結んでいたケース。 この場合は「定期金の権利」とみなされ、110万円×10年分を一度にもらったものとして贈与税が課される可能性があります。 対策としては、毎年違う金額・違うタイミングで贈与し、そのつど贈与契約書を作成しておくのが一般的です。 「毎年同じ日に同じ金額」は、税務署にとって最も目立つパターンだということを覚えておきましょう。

贈与額と続柄を入れて、税額を確認してみる

贈与額・贈与者との続柄・受贈者の年齢を入力するだけで、特例税率・一般税率を自動判定して税額を即時計算します

ここまでが「毎年コツコツ」の基本パターン。ここからは、目的が決まった大型の非課税特例を、 シーン別に見ていきます。住宅・教育・結婚・配偶者への居住用不動産—— どれも条件さえ合えば、110万円の枠とは別に大きな金額を非課税で渡せる制度です。

特例の種類非課税限度額主な条件
住宅取得等資金贈与最大1,000万円父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ。省エネ等住宅は1,000万円、一般住宅は500万円
教育資金一括贈与1,500万円30歳未満の子・孫へ。金融機関の専用口座で管理。2026年3月31日まで
結婚・子育て資金贈与1,000万円18歳以上50歳未満の子・孫へ。結婚費用は300万円まで。2025年3月31日まで
配偶者への居住用不動産贈与2,000万円婚姻期間20年以上の配偶者へ。居住用不動産または取得資金の贈与

マイホーム購入を、頭金で支えたいとき

子どもや孫がマイホームを買うタイミング。頭金を援助してあげたい——というケースで使えるのが、住宅取得等資金贈与の非課税特例です。父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与に限定されますが、 非課税枠は省エネ等住宅で最大1,000万円、一般住宅で500万円。 これに暦年贈与の110万円を加算できるので、実質的には1,110万円までを無税で動かせる計算になります。

ただし注意したいのが期限と居住要件です。この特例は2026年12月31日までの贈与に適用され、 さらに贈与を受けた翌年3月15日までに住宅を取得・居住している必要があります。 「贈与を受けたあと工事が遅れて住めなかった」となると、特例が使えなくなってしまうので、 住宅の引き渡しスケジュールから逆算して贈与のタイミングを決めるのが鉄則です。検討中の方は早めの手続きを。

孫の教育費を、まとめて準備してあげたいとき

「孫の学費を、自分が元気なうちにまとめて準備しておきたい」。 そんな祖父母世代に使われているのが、教育資金の一括贈与に係る非課税措置です。 30歳未満の子・孫を対象に、1,500万円まで非課税で一括贈与できる強力な制度。 ただし、現金を直接渡すのではなく、金融機関で開設する教育資金専用口座に預け入れ、 学校等への支払いに使ったことを領収書で証明していく形になります。

塾や習い事、留学費用なども対象になりますが、塾・習い事については500万円までという内枠があります。 また、受贈者が30歳に達した時点で残高があると、そこに贈与税が課税される点には注意が必要です。 申込期限は2026年3月31日までと区切られている制度なので、検討する場合は早めに金融機関に相談しておきましょう。

子の結婚や出産を、お祝いで後押ししたいとき

子の結婚や出産・育児を、まとまった金額で後押ししたい——そんなときに選択肢になるのが、結婚・子育て資金の一括贈与です。18歳以上50歳未満の子・孫を対象に、1,000万円まで非課税(うち結婚費用は300万円が上限)で一括贈与できます。 こちらも教育資金と同様、専用口座で支払いを管理する形になります。

ただし、結婚式・新居の家賃・出産費用・子の医療費・保育料など、対象用途が細かく決められており、 単なる「お祝い金」では対象外になるケースも。さらにこちらは2025年3月31日までの申込期限が設定されていた制度で、 現在は利用受付が終了している可能性が高いため、最新情報を金融機関で必ず確認してください。 「使えるなら使いたい」と考えている方は、税制改正の動向もあわせてチェックを。

結婚20年以上の配偶者に、自宅を渡しておきたいとき

通称「おしどり贈与」と呼ばれる、配偶者控除の特例。婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または取得資金を贈与した場合、 基礎控除110万円とは別に2,000万円まで非課税になります。合計で2,110万円。 老後を見据えて、自宅の名義を配偶者に移しておきたい場面で活用される制度です。

ただし、この特例は同じ配偶者からは一生に一度しか使えない点に要注意。 また、贈与税はゼロでも、不動産取得税・登録免許税といった登記時の諸費用は発生します。 相続で渡すのと、贈与で先に動かすのと、どちらが結果的に有利かは家庭ごとに異なるので、 実行前に税理士のシミュレーションを受けておくのが安心です。

相続を見据えて、まとまった額を一気に動かしたいとき

最後はまったく違う軸の制度——相続時精算課税です。 贈与時には累計2,500万円まで非課税で一括贈与でき、超過分も一律20%の税率という、 まとまった額を動かすのに向いた仕組み。2024年からは、これに加えて毎年110万円の基礎控除も新設されました。

名前のとおり、この制度を選ぶと贈与額(110万円超)はすべて相続発生時に相続財産へ持ち戻されて精算されます。 贈与税としては安く済ませても、最終的に相続税としてかかってくる構造です。値上がりが見込まれる不動産や自社株を早めに渡しておきたい、 という戦略的な使い方が中心になります。

最大の注意点は、一度選択するとその贈与者との間で取り消しができないこと。 翌年以降の同一贈与者からの贈与は、すべて精算課税で扱われます。 暦年課税との違いを整理しておきましょう。

項目暦年課税相続時精算課税
年間非課税枠110万円110万円(2024年〜)
累計控除額なし(毎年110万円)2,500万円(累計)
相続への加算死亡前7年分(2024年〜)全贈与額(110万円超)
向いているケース長期・少額の毎年贈与大額の一括贈与

💡 ポイント:相続時精算課税は一度選択すると取り消せません。相続財産が多い場合や相続税の節税を重視する場合は、専門家への相談をおすすめします。

どのシーンであっても共通するのが、申告期限です。 贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に、所轄の税務署で申告・納税します。 例えば2025年中に贈与を受けたなら、2026年2月1日〜3月15日が期限。 納税は現金一括が原則ですが、一定の条件を満たす場合は最大5年の延納(年利6.6%)も可能です。 期限を過ぎると無申告加算税・延滞税が発生するため、ここはしっかり押さえておきましょう。

また、複数の贈与者から贈与を受けるケースでは少し計算が複雑になります。 たとえば父からの贈与(特例税率)と兄からの贈与(一般税率)が同じ年に重なった場合、合計額に対して按分計算が必要になります。①全額が特例税率の場合の仮税額、②全額が一般税率の場合の仮税額をそれぞれ計算し、贈与額の比率で按分する方式です。 手計算ではミスが出やすい部分なので、計算ツールで早めに確認しておくのが現実的です。

贈与税は、目的とシーンによって使い分けることで効果が大きく変わる制度です。 自分のケースに合った非課税枠を選び、必要に応じて税理士に相談しながら、計画的に進めていきましょう。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 税法は毎年改正されるため、今後変更の可能性があります。 実際の税額・手続きについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 本記事の計算結果と実際の税額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
  • ・国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
  • ・国税庁「No.4503 相続時精算課税の選択」
  • ・国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
  • ・国税庁「令和6年度税制改正(生前贈与加算・相続時精算課税)」

記事に関連するツールを使ってみる

この記事で紹介した制度や計算について、自分のケースでは具体的にどうなるか、無料の計算ツールでシミュレーションしてみましょう。

関連ツールへ移動する