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税金・計算

給与の源泉徴収と副業の税金【2026年版】

給与の源泉徴収と副業の税金【2026年版】

毎月の給与明細に記載される「所得税」は、勤務先が天引きして国に納める源泉徴収税です。 その金額は「月額表」の甲欄・乙欄の区別と扶養親族の数によって決まります。 副業で2箇所から給与を受け取る場合の注意点や、電算機計算の特例まで、給与の源泉徴収を徹底解説します。

1. 源泉徴収の仕組み

会社は従業員に給与を支払う際、所得税と復興特別所得税を差し引いて国に納付する義務があります。 この仕組みを「源泉徴収」といいます。

  • 甲欄:「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した勤務先(主たる給与)に適用
  • 乙欄:申告書を提出していない勤務先(副業先など)に適用

扶養控除等申告書は1箇所にしか提出できません。副業先からの給与には必ず乙欄が適用されます。

甲欄と乙欄の違い比較図

(甲欄 vs 乙欄の税額比較イメージ)

2. 甲欄と乙欄の違い

項目甲欄乙欄
対象主たる給与(本業)従たる給与(副業)
申告書の提出提出済み未提出
扶養控除考慮される考慮されない
税額の水準低い高い(甲欄の数倍)
年末調整可能不可(確定申告が必要)

⚠️ 注意:副業の給与は乙欄が適用されるため、毎月の天引き額が大きくなります。 ただし、確定申告で年間の所得税を精算すれば、納め過ぎた分は還付されます。

3. 月額表の見方と税額早見表

甲欄の税額は、社会保険料等控除後の給与扶養親族等の数で決まります。 以下は月額表の主要な金額帯の抜粋です。

社保控除後の給与甲0人甲1人甲2人甲3人乙欄
150,000~152,0002,7401,130008,700
200,000~202,0005,2003,5801,96054014,800
250,000~252,0007,6105,9904,3802,76022,200
300,000~302,0008,4206,8005,1803,56050,600
350,000~352,00011,75010,1308,5106,89063,400
400,000~402,00016,06014,43012,81011,20076,700
500,000~502,00026,57024,42022,27020,130107,400
600,000~602,00040,67038,52036,38034,230143,000
700,000~702,00059,37056,88054,42051,960226,400

💡 ポイント:同じ給与でも乙欄は甲欄の数倍の税額になることがわかります。副業がバレるリスクを気にする方は、住民税の普通徴収(自分で納付)を選択する方法もあります。

扶養親族数別の源泉徴収税額の変化

(扶養親族数と税額の関係イメージ)

4. 電算機計算の特例

月額表の代わりに計算式で税額を算出する方法を「電算機計算の特例」といいます。 給与計算ソフトの多くはこの方法を採用しています。月額表の結果と若干の差が出ることがあります。

計算の4ステップ

1

給与所得控除を差し引く

社保控除後の給与から、給与所得控除額(月割り)を引きます。

2

基礎控除を差し引く

基礎控除の月割り額(通常 48,334円)を差し引きます。

3

扶養控除を差し引く

扶養親族等の数 × 31,667円を差し引きます。

4

税率を適用して税額を算出

課税給与所得金額に税率(復興特別所得税2.1%含む)を掛けます。

給与所得控除の月割り額

社保控除後の給与(月額)給与所得控除額(月割り)
158,333円以下54,167円
158,334~299,999円給与×30% + 6,667円
300,000~549,999円給与×20% + 36,667円
550,000~708,330円給与×10% + 91,667円
708,331円以上162,500円(上限)

電算機特例の税率表

課税給与所得金額(月額)税率控除額
162,500円以下5.105%0円
162,501~275,000円10.210%8,296円
275,001~579,166円20.420%36,374円
579,167~750,000円23.483%54,113円
750,001~1,500,000円33.693%130,688円
1,500,001~3,333,333円40.840%237,893円
3,333,334円以上45.945%408,061円

※ 税率には復興特別所得税(2.1%)が含まれています。2037年まで適用されます。

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5. 副業(2箇所以上の給与)の税金

副業で2箇所以上から給与を受け取っている場合、税務処理にはいくつかの注意点があります。

副業の給与にかかる源泉徴収

  • 副業先には扶養控除等申告書を提出できないため、乙欄で源泉徴収される
  • 乙欄の税額は甲欄に比べて大幅に高い(同じ給与額でも2~3倍以上)
  • 副業の給与は年末調整の対象外。確定申告で精算する必要がある

確定申告が必要なケース

給与を2箇所以上から受け取っている場合、以下のいずれかに該当すると確定申告が必要です:

  • ・主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得以外の所得の合計が年間20万円を超える
  • ・年間の給与総額が2,000万円を超える

💡 ポイント:副業の乙欄で多く天引きされた所得税は、確定申告により還付される場合が多いです。特に副業の月収が少ない場合は、年間の実効税率と乙欄の税率の差が大きくなります。

6. 扶養親族等の数の数え方

月額表の甲欄で使う「扶養親族等の数」は、以下を合算した数です。

対象条件人数
源泉控除対象配偶者所得者の所得900万円以下+配偶者の所得95万円以下1人
控除対象扶養親族16歳以上で所得48万円以下の親族実人数
障害者(本人・配偶者・扶養親族)障害者手帳を有する等+1人ずつ加算
寡婦・ひとり親・勤労学生それぞれ該当要件を満たす場合+1人加算

7. 年末調整で精算される

毎月の源泉徴収はあくまで概算です。12月の年末調整(または確定申告)で、 1年間の正確な所得税額と天引き済みの税額との差額を精算します。

  • 年末調整で控除できるもの:生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除(2年目以降)、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)など
  • 確定申告が必要なもの:医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を超える場合)、初年度の住宅ローン控除など

よくある質問(FAQ)

Q. 月額表方式と電算機計算の特例で税額が違うのはなぜですか?
月額表は2,000円刻みの範囲に対して固定税額を定めているため、同じ範囲内の最小値と最大値で約2,000円の差があります。一方、電算機計算の特例は計算式で正確に算出するため、端数の処理方法の違いにより若干の差が生じます。いずれの方法で計算しても税務上問題はなく、年末調整で精算されます。
Q. 副業がバレないようにする方法はありますか?
副業で給与所得がある場合、住民税の特別徴収(天引き)により本業の会社に通知される可能性があります。対策として、確定申告時に住民税を「普通徴収(自分で納付)」に選択する方法がありますが、自治体によっては対応が異なるため確実ではありません。なお、雇用契約の副業の場合は普通徴収が認められない自治体もあります。
Q. 扶養控除等申告書の提出を忘れたらどうなりますか?
乙欄で源泉徴収されるため、毎月の天引き額が大幅に増えます。気づいた時点で速やかに提出すれば、翌月から甲欄に切り替わります。すでに乙欄で多く徴収された分は年末調整で精算されます。入社時に提出するのが一般的ですが、転職や年初に再提出を求められることもあります。
Q. 給与明細の「所得税」と国税庁の月額表の金額が合いません。
多くの企業は「電算機計算の特例」で税額を算出しているため、月額表の金額と完全に一致しないことがあります。また、通勤手当は非課税なので源泉徴収の計算対象外です。月額表から自分で計算する場合は、額面給与から社会保険料と非課税通勤手当を差し引いた金額を使いましょう。
Q. 令和8年分で何か変わることはありますか?
令和8年分以後、「源泉控除対象扶養親族」の新区分が導入される予定です。これにより、16歳未満の扶養親族の取り扱いなどが変わる可能性があります。最新の情報は国税庁のウェブサイトでご確認ください。

まとめ

  • 給与の源泉徴収税は月額表の甲欄または乙欄で算出。扶養控除等申告書の提出で甲欄が適用される。
  • 副業先の給与は乙欄(高税率)が適用されるため、確定申告での精算が重要。
  • 電算機計算の特例は給与控除→基礎控除→扶養控除→税率適用の4ステップ。月額表と若干の差がある。
  • 扶養親族等の数には配偶者・障害者・寡婦等も含む。人数が多いほど税額は低い
  • 毎月の天引きは概算であり、年末調整・確定申告で精算される。

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【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 税法は毎年改正されるため、今後変更の可能性があります。 実際の税額・手続きについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 本記事の情報と実際の税務処理が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」
  • ・国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」
  • ・国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表(月額表)」
  • ・国税庁「電算機計算の特例について」

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