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税金・計算

給与の源泉徴収と副業の税金【2026年版】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

給与の源泉徴収と副業の税金【2026年版】

毎月の給与明細に小さく印字されている「所得税」。たった数行の数字ですが、その金額が決まるまでには、 1年を通じた長いプロセスがあります。1月の書類提出にはじまり、毎月の天引き、副業での乙欄の登場、11月の扶養確認、 12月の年末調整、そして翌年3月の確定申告——本記事では、源泉徴収という仕組みが1年の中でどんな旅をしているのかを、時期の流れに沿って追いかけていきます。

その年の1月——扶養控除等申告書を出すかどうかで、すべてが決まる

年が明けてまず勤務先から渡されるのが、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と呼ばれる書類です。 この紙を提出するかどうかで、その年の毎月の天引き額が大きく変わってきます。 提出した勤務先には甲欄、未提出の勤務先には乙欄が適用される—— それが日本の給与源泉徴収の出発点です。

  • 甲欄:「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した勤務先(主たる給与)に適用
  • 乙欄:申告書を提出していない勤務先(副業先など)に適用

扶養控除等申告書は1箇所にしか提出できません。副業先からの給与には必ず乙欄が適用される、というのはこのルールから来ています。

甲欄と乙欄の違い比較図

(甲欄 vs 乙欄の税額比較イメージ)

甲欄と乙欄では、同じ給与でも税額の水準がまったく違います。具体的な違いを並べると次のとおりです。

項目甲欄乙欄
対象主たる給与(本業)従たる給与(副業)
申告書の提出提出済み未提出
扶養控除考慮される考慮されない
税額の水準低い高い(甲欄の数倍)
年末調整可能不可(確定申告が必要)

⚠️ 注意:副業の給与は乙欄が適用されるため、毎月の天引き額が大きくなります。 ただし、確定申告で年間の所得税を精算すれば、納め過ぎた分は還付されます。

ここで気をつけたいのが、申告書を出し忘れた場合。たとえば転職直後で書類のやり取りが行き違っていたり、 年初の提出を見逃したまま給与日を迎えてしまうと、本業であっても乙欄が適用され、毎月の天引きが大幅に増えます。 気づいた時点で速やかに提出すれば、翌月から甲欄に切り替わり、すでに乙欄で多く徴収された分は年末調整で精算されます。

毎月の給与日に、月額表は機械的に税額をはじき出す

甲欄が適用された人の毎月の税額は、国税庁が公表している「月額表」によって、ほぼ機械的に決まります。 必要な情報はたった2つ——社会保険料等控除後の給与額と、扶養親族等の数です。 この2軸で表を引くと、その月に天引きすべき税額がそのまま出てきます。

社保控除後の給与甲0人甲1人甲2人甲3人乙欄
150,000~152,0002,7401,130008,700
200,000~202,0005,2003,5801,96054014,800
250,000~252,0007,6105,9904,3802,76022,200
300,000~302,0008,4206,8005,1803,56050,600
350,000~352,00011,75010,1308,5106,89063,400
400,000~402,00016,06014,43012,81011,20076,700
500,000~502,00026,57024,42022,27020,130107,400
600,000~602,00040,67038,52036,38034,230143,000
700,000~702,00059,37056,88054,42051,960226,400

💡 ポイント:同じ給与でも乙欄は甲欄の数倍の税額になることがわかります。副業がバレるリスクを気にする方は、住民税の普通徴収(自分で納付)を選択する方法もあります。

よくある質問が、「給与明細の所得税額が、自分で月額表を引いた金額と合わない」というもの。 理由はいくつかあります。第一に、多くの企業は月額表ではなく後述の「電算機計算の特例」で税額を算出しているため、月額表の金額と完全に一致しません。 第二に、通勤手当は非課税なので源泉徴収の計算対象外。月額表から自分で引くなら、額面給与から社会保険料と非課税通勤手当を差し引いた金額を使うのが正しい引き方です。

あなたの給与・扶養人数で、毎月の天引き額を確認してみる

月額表方式と電算機計算の両方に対応。甲欄・乙欄の切り替え、扶養親族数の設定もワンクリックで計算できます

副業先の給与日には、別の表(乙欄)が顔を出す

副業をしていると、給与日が月に2回やってきます。本業の給与日は甲欄、副業の給与日は乙欄——表だけでなく、税額の重みも別物です。 副業の給与は本業に比べて月収が低いことが多いので、年間の実効税率と乙欄の重い税率にズレが生まれ、 実は確定申告すれば多くの場合、納めすぎた分が還付されるのはあまり知られていません。

副業をしている人がよく気にするのが、会社にバレるかどうか。 ここで注意したいのは、源泉徴収(所得税)ではなく住民税のほうが副業発覚の主な経路だということです。 住民税は通常、本業の給与から特別徴収(天引き)されますが、そのとき副業分の住民税も合算されると、本業の経理担当者から「給与に対して住民税が多いな」と気づかれるパターンがあります。 対策として、確定申告書で住民税を「普通徴収(自分で納付)」に切り替える方法はありますが、自治体によって対応が異なり、雇用契約の副業は普通徴収を認めない自治体もあります。確実にバレない方法はない、というのが現実的な認識です。

11月、扶養家族の構成を確認し直す

年末調整に向けて、勤務先から各種申告書の提出を求められるのが11月ごろ。ここで重要になるのが、 毎月の月額表で使ってきた「扶養親族等の数」を、もう一度正しく数え直す作業です。 配偶者や子どもだけでなく、障害者・ひとり親なども加算対象になります。

対象条件人数
源泉控除対象配偶者所得者の所得900万円以下+配偶者の所得95万円以下1人
控除対象扶養親族16歳以上で所得48万円以下の親族実人数
障害者(本人・配偶者・扶養親族)障害者手帳を有する等+1人ずつ加算
寡婦・ひとり親・勤労学生それぞれ該当要件を満たす場合+1人加算
扶養親族数別の源泉徴収税額の変化

(扶養親族数と税額の関係イメージ)

なお、令和8年分以後は「源泉控除対象扶養親族」の新区分が導入される予定で、16歳未満の扶養親族の取り扱いなどが変わる可能性があります。 最新の取り扱いは国税庁のウェブサイトで都度確認するのが安全です。

12月、年末調整で1年の答え合わせをする

毎月の月額表による天引きは、あくまで概算。12月になると、勤務先が1年間の所得税を確定させて、これまで天引きしてきた合計額と精算する——これが年末調整です。 月額表だけでは反映できない控除がここで一気に効いてきます。生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除(2年目以降)、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)などが代表例です。

年末調整の実務では、月額表ではなく「電算機計算の特例」と呼ばれる計算式方式が多く使われます。 給与計算ソフトのほとんどがこの方式で月々の税額を算出しているため、給与明細の数字が月額表と微妙にずれる主な理由がここにあります。

1

給与所得控除を差し引く

社保控除後の給与から、給与所得控除額(月割り)を引きます。

2

基礎控除を差し引く

基礎控除の月割り額(通常 48,334円)を差し引きます。

3

扶養控除を差し引く

扶養親族等の数 × 31,667円を差し引きます。

4

税率を適用して税額を算出

課税給与所得金額に税率(復興特別所得税2.1%含む)を掛けます。

社保控除後の給与(月額)給与所得控除額(月割り)
158,333円以下54,167円
158,334~299,999円給与×30% + 6,667円
300,000~549,999円給与×20% + 36,667円
550,000~708,330円給与×10% + 91,667円
708,331円以上162,500円(上限)
課税給与所得金額(月額)税率控除額
162,500円以下5.105%0円
162,501~275,000円10.210%8,296円
275,001~579,166円20.420%36,374円
579,167~750,000円23.483%54,113円
750,001~1,500,000円33.693%130,688円
1,500,001~3,333,333円40.840%237,893円
3,333,334円以上45.945%408,061円

※ 税率には復興特別所得税(2.1%)が含まれています。2037年まで適用されます。

月額表は2,000円刻みで税額が決まっているのに対し、電算機方式は計算式でピンポイントに税額を出すため、 範囲内の最大値と最小値で約2,000円の差が出ることもあります。年末調整で精算されるので、最終的な納税額は同じです。

翌年3月、副業のある人は確定申告に向かう

年末調整は本業1社で完結する制度なので、副業がある人や、年末調整で控除しきれなかった項目がある人は、 翌年3月15日までの確定申告で最終精算をすることになります。給与所得者で確定申告が必要になる代表的なケースは次のとおり。

  • ・主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得以外の所得の合計が年間20万円を超える
  • ・年間の給与総額が2,000万円を超える
  • ・医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を超える場合)を受けたい
  • ・初年度の住宅ローン控除を受けたい

💡 ポイント:副業の乙欄で多く天引きされた所得税は、確定申告により還付される場合が多いです。特に副業の月収が少ない場合は、年間の実効税率と乙欄の税率の差が大きくなります。

こうして1年というスパンで眺めてみると、毎月の給与明細の小さな数字も、申告書、月額表、副業、扶養確認、年末調整、確定申告—— いくつもの段階を経てそこにあることがわかります。気になる方は、自分の給与額と扶養人数を入れて、来月の手取りを計算ツールで確認しておくと安心です。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 税法は毎年改正されるため、今後変更の可能性があります。 実際の税額・手続きについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 本記事の情報と実際の税務処理が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」
  • ・国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」
  • ・国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表(月額表)」
  • ・国税庁「電算機計算の特例について」

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