住宅ローンの返済方法には元利均等返済と元金均等返済の2種類があり、 それぞれ毎月の返済額や総返済額が大きく異なります。 さらに変動金利の5年ルール・125%ルールや元金据置期間など、 知っておくべき仕組みを計算例と早見表を交えて解説します。
1. 2つの返済方法を比較
| 項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 一定(固定) | 徐々に減少 |
| 当初の返済額 | 低い | 高い |
| 総返済額 | 多い | 少ない |
| 元金の減り方 | 遅い(初期は利息中心) | 速い(毎回一定額を返済) |
| 家計管理 | しやすい | 毎月変動 |
| 5年ルール適用 | あり(変動金利の場合) | なし |

(元利均等返済 vs 元金均等返済イメージ)
2. 元利均等返済の仕組み
毎月の返済額(元金+利息)が一定になる方式です。 返済初期は利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が増えていきます。
計算式(PMT公式)
毎月返済額 = P × r × (1+r)n ÷ {(1+r)n − 1}
P = 借入金額、r = 月利(年利÷12)、n = 返済月数
- メリット:返済額が一定で家計管理しやすい。当初の負担が軽い
- デメリット:総返済額が元金均等より多い。残高の減少が遅い
- 向いている人:毎月の支出を一定にしたい方、返済初期の負担を抑えたい方
3. 元金均等返済の仕組み
毎月の元金返済額が一定で、それに残高に対する利息を上乗せして返済する方式です。 返済が進むほど残高が減り、利息も減るため、毎月の返済額は徐々に少なくなります。
計算式
毎月の元金 = 借入金額 ÷ 返済月数
毎月の利息 = 前月末残高 × 月利
毎月の返済額 = 元金 + 利息
- メリット:総返済額(利息総額)が少ない。返済が進むと負担が減る
- デメリット:当初の返済額が最も高い
- 向いている人:総支払額を抑えたい方、当初の高い返済額を許容できる収入がある方
⚠️ 重要:変動金利で元金均等返済を選択した場合、5年ルール・125%ルールは適用されません。 金利変動がそのまま返済額に反映されるため、金利上昇時のリスクが大きくなります。
4. 具体的な比較シミュレーション
条件:借入4,000万円・金利1.5%・35年
| 項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 毎月返済額 | 122,473円(固定) | 145,238円(初月)→ 逓減 |
| 総返済額 | 51,438,660円 | 50,525,021円 |
| 総利息額 | 11,438,660円 | 10,525,021円 |
| 利息差額 | — | 約91万円おトク |
※ 出典:三井住友銀行の公開シミュレーション結果に基づく。ボーナス返済なし。
5. 金利タイプの種類
| 金利タイプ | 特徴 | リスク |
|---|---|---|
| 変動金利 | 短期プライムレートに連動。半年ごとに見直し。最も金利が低い | 金利上昇時に返済額増加 |
| 全期間固定 | 長期金利に連動。契約時の金利が全期間適用 | 金利上昇リスクなし |
| 固定期間選択型 | 2〜20年の固定期間を選択。終了後に再度選択 | 固定期間終了後のリスク |
※ 新規住宅ローンの約76%が変動金利を選択しています(2021年度時点)。
6. 5年ルールと125%ルール
変動金利 + 元利均等返済の場合に適用される2つの重要なルールがあります。
5年ルール
金利は半年ごとに見直されますが、毎月の返済額は5年間変わりません。 金利が上がった場合は返済額の中の利息割合が増え、元金返済が遅くなります。
125%ルール
5年ごとの返済額見直し時に、新しい返済額は前回の125%が上限です。
125%ルールの具体例
これまでの毎月返済額:100,000円
→ 5年後の見直しで本来なら150,000円になるところ、上限は 125,000円
→ 差額の25,000円分は未払利息として蓄積される
⚠️ 未払利息のリスク
- ・極端な金利上昇時は、返済額のすべてが利息に充てられ元金が減らない状態になりうる
- ・ローン終了時に未払利息が残ると一括返済を求められる可能性がある
- ・SBI新生銀行など、5年ルール・125%ルールを採用していない金融機関もある
7. 金利別の毎月返済額早見表
借入金額と金利ごとの毎月返済額の目安です(元利均等返済・35年・ボーナス返済なし)。
| 借入金額 | 0.5% | 1.0% | 1.5% | 2.0% |
|---|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 51,917円 | 56,457円 | 61,237円 | 66,252円 |
| 3,000万円 | 77,876円 | 84,685円 | 91,855円 | 99,378円 |
| 4,000万円 | 103,834円 | 112,914円 | 122,473円 | 132,505円 |
| 5,000万円 | 129,793円 | 141,142円 | 153,092円 | 165,631円 |
| 6,000万円 | 155,751円 | 169,371円 | 183,710円 | 198,757円 |

(金利別の毎月返済額イメージ)
💡 金利の影響:3,000万円・35年の場合、金利が0.5%上がるだけで 総返済額は約300万円増加します(みずほ銀行公開データ)。
8. 元金据置期間とは
元金据置期間とは、返済開始後の一定期間、元金の返済を猶予して利息のみ支払う期間のことです。
- 据置期間中は毎月の支払額が低く抑えられる
- 据置期間終了後に残りの期間で元金を返済するため、据置なしの場合より返済額が上がる
- 総利息額は増加する(元金が減らないため)
9. 端数処理の方法
住宅ローンの計算では端数処理(小数点以下の扱い)が結果に影響します。
| 処理方法 | 説明 | 例:12,345.6円 |
|---|---|---|
| 切り捨て | 小数点以下を切り捨て(最も一般的) | 12,345円 |
| 切り上げ | 小数点以下を切り上げ | 12,346円 |
| 四捨五入 | 0.5以上なら切り上げ、未満なら切り捨て | 12,346円 |
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よくある質問(FAQ)
Q. 元利均等と元金均等、どちらを選ぶべきですか?
Q. 変動金利と固定金利、どちらが有利ですか?
Q. 5年ルールがあれば金利上昇時も安心ですか?
Q. 繰上返済は元利均等と元金均等のどちらが効果的ですか?
Q. 返済期間は長いほうがいいですか?短いほうがいいですか?
まとめ
- 元利均等返済は毎月定額で家計管理しやすいが、総返済額は多い。
- 元金均等返済は総返済額が少ないが、当初の返済負担が重い。
- 変動金利+元利均等返済には5年ルール・125%ルールがあるが、未払利息リスクに注意。
- 金利0.5%の違いで35年間の総返済額は約300万円変わる。
- 元金均等返済には5年ルール・125%ルールが適用されないため、金利変動がダイレクトに反映される。
【免責事項】
本記事の内容は2026年3月時点の一般的な住宅ローンの仕組みに基づく説明です。 金利・返済条件は金融機関ごとに異なります。実際のローン契約・借り換えについては、 各金融機関の窓口またはファイナンシャルプランナーにご相談ください。 本記事の情報に基づく判断により損害が生じた場合、当サイトは責任を負いかねます。
参考資料
- ・住宅金融支援機構(フラット35)「元利均等返済と元金均等返済とは?」
- ・三井住友銀行「元利均等返済と元金均等返済どっちがお得?」
- ・みずほ銀行「返済方法(元金均等/元利均等)」
- ・SBI新生銀行「5年ルールと125%ルール」
- ・全国銀行協会「変動金利住宅ローンの未払利息」
