「相続税って自分には関係ない」と思っていませんか? 実は日本では亡くなった方の約9%が相続税の課税対象となっています(2023年実績)。 2024年の税制改正で相続前の贈与ルールも変更されました。基礎控除の計算方法から申告手続きまで、相続税のすべてをわかりやすく解説します。
1. 相続税の基礎控除:まずここで課税対象かを判定
相続税には大きな非課税枠「基礎控除」があります。遺産の総額がこの金額以下であれば、相続税はゼロで申告も不要です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

(相続人が増えるほど基礎控除額が増加。3人家族なら4,800万円まで非課税です)
法定相続人の数別・基礎控除額早見表
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続人の例 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 配偶者のみ(子なし) |
| 2人 | 4,200万円 | 配偶者+子1人 |
| 3人(最も多いケース) | 4,800万円 | 配偶者+子2人 |
| 4人 | 5,400万円 | 配偶者+子3人 |
| 5人 | 6,000万円 | 配偶者+子4人 |
出典:国税庁「No.4152 相続税の計算」
💡 ポイント:配偶者+子2人(3人)の家庭では基礎控除が4,800万円。遺産が4,800万円以下なら相続税はゼロです。 しかし土地・不動産を含む場合は意外と超えるケースも多いので注意が必要です。
2. 相続税率テーブル
課税遺産総額(遺産総額 − 基礎控除)を各相続人の法定相続分で割り当て、以下の税率を適用します。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」

(課税遺産総額の算出から控除適用まで、5つのステップで相続税額が確定します)
3. 相続税の5ステップ計算フロー
課税遺産総額を計算する
(正味の遺産額 + 相続前7年内の贈与財産)− 基礎控除額
法定相続分で仮に按分する
課税遺産総額を各相続人の法定相続分で分割(配偶者1/2・子供1/2など)
各自の仮税額を算出し合算する
各自の分担額に税率テーブルを適用→合計して「相続税の総額」を算出
実際の取得割合で按分する
相続税の総額を、実際の遺産取得割合で各相続人に振り分ける
各種控除・加算を適用する
配偶者控除・未成年者控除・障害者控除・2割加算などを反映して確定税額を計算
4. 主な税額控除・加算
(1)配偶者の税額軽減(最大の節税効果)
配偶者が相続する場合、次のいずれか大きい金額まで相続税がゼロになります。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額(遺産総額 × 1/2など)
例:遺産総額2億円、法定相続人が配偶者+子2人の場合、配偶者の法定相続分は1億円。 1億6,000万円の方が大きいため、配偶者が1億6,000万円以内を相続した場合は相続税ゼロ。
(2)未成年者控除
相続人が未成年(18歳未満)の場合、(18歳 − 相続時の年齢)× 10万円が税額から控除されます。
(3)障害者控除
- 一般障害者:(85歳 − 相続時の年齢)× 10万円
- 特別障害者:(85歳 − 相続時の年齢)× 20万円
(4)2割加算(兄弟姉妹等)
配偶者・子(代襲相続人を含む)・父母以外の方(兄弟姉妹・孫など)が相続する場合、 算出税額が20%加算されます。
5. 【2024年改正】贈与の持ち戻しルールが変更
⚠️ 重要な改正:2024年1月1日以降の贈与から、相続前の持ち戻し期間が3年から7年に段階的に延長されています。 亡くなる前7年以内に行われた暦年課税の贈与(相続人への贈与)は、相続財産に加算されます。 ただし延長された4年分(3〜7年前)については、合計100万円まで除外されます。
| 死亡時期 | 持ち戻し期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日以前 | 3〜4年(移行期間) |
| 2031年1月1日以降 | 7年(完全適用) |
まとめ
- 基礎控除は3,000万円+600万円×相続人数。相続人3人なら4,800万円まで非課税。
- 配偶者の税額軽減で、1億6,000万円または法定相続分の大きい方まで相続税ゼロ。
- 申告・納税の期限は相続を知った日の翌日から10か月以内。延滞税が発生するため絶対に守ること。
- 2024年改正で贈与の持ち戻し期間が7年に延長。生前贈与の計画を早めに立てることが重要。
- 相続税の計算は複雑なため、早めに税理士への相談を検討しましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 相続税の申告・納税の期限はいつですか?
Q. 基礎控除以下なら申告しなくてもよいですか?
Q. 小規模宅地等の特例とは何ですか?
Q. 生命保険金も相続税の対象になりますか?
【免責事項】
本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づく概算です。 税法は毎年改正されるため、今後変更の可能性があります。 実際の税額・手続きについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 本記事の計算結果と実際の税額が異なった場合、当サイトは責任を負いかねます。
参考資料
- ・国税庁「No.4152 相続税の計算」
- ・国税庁「No.4155 相続税の税率」
- ・国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
- ・国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
- ・国税庁「令和6年度税制改正(生前贈与加算の見直し)」
