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社会保険・給付

健康保険料の計算方法と標準報酬月額【2026年度対応】

高橋 健太
この記事の監修者・執筆者

高橋 健太 (Kenta Takahashi)

ファイナンシャルプランナー (FP2級) / Webライター

金融機関での実務経験を活かし、難しい税金や社会保険の仕組みを「誰にでも分かりやすく」解説することをモットーに活動しています。CalcEasyでは、ユーザーの皆様が自分のお金や制度について正確にシミュレーションできるよう、コンテンツの監修とツール設計のサポートを行っています。

健康保険料の計算方法と標準報酬月額【2026年度対応】

毎月の給与明細から天引きされる「健康保険料」。額面はけっして小さくありませんが、 その金額は年齢の節目・勤め先のある都道府県・年度ごとの料率改定で、少しずつ姿を変えていきます。 本記事では、協会けんぽの健康保険料がどう決まるのかを、20代から70代までの人生の節目に沿って追いかけていきます。

健康保険料を決めるしくみ——標準報酬月額×料率×1/2

まず仕組みの全体像から。協会けんぽの健康保険料は、3つの数字の掛け算で決まります。

基本の計算式

健康保険料(本人負担)= 標準報酬月額 × 保険料率 × 1/2

「標準報酬月額」は、毎月の給与をきりのいい段階に丸めた金額で、50の等級に区分されています。 毎年4・5・6月の報酬の平均から決められて、9月から翌年8月までの12ヶ月間その金額が使われる仕組み。 昇給や降給で固定的賃金が大きく動いたときは、年の途中でも随時改定の対象になります。

標準報酬月額等級表(第1等級58,000円〜第50等級1,390,000円)

(標準報酬月額等級表イメージ)

等級標準報酬月額報酬月額の範囲
158,000円〜63,000円未満
598,000円93,000〜101,000円未満
10134,000円130,000〜138,000円未満
17200,000円195,000〜210,000円未満
22300,000円290,000〜310,000円未満
27410,000円395,000〜425,000円未満
30500,000円485,000〜515,000円未満
35650,000円635,000〜665,000円未満
40830,000円810,000〜855,000円未満
451,090,000円1,055,000〜1,115,000円未満
501,390,000円1,355,000円以上

報酬には基本給・残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当などが含まれます。 所得税では非課税扱いの通勤手当も、社会保険料の計算では報酬に含まれる点は要注意。退職金・結婚祝金・出張旅費は対象外です。 保険料は事業主と被保険者で折半(労使折半)。給与から天引きされるのは半額だけ、ということになります。

39歳以下、もっとも軽い時期の保険料

20代・30代の方の給与明細に並んでいるのは、健康保険料と(令和8年度から加わった)子ども・子育て支援金のふたつだけ。 介護保険料はまだ入りませんから、年齢層のなかでは最もシンプルかつ軽い構成です。

年齢区分と保険料の仕組み図解(39歳以下・40〜64歳・65〜69歳・70〜74歳)

(年齢区分と保険料の仕組み)

計算例:東京都・35歳・標準報酬月額300,000円

健康保険料:300,000 × 9.85% = 29,550円(全額)→ 14,775円(本人)

子ども支援金:300,000 × 0.23% = 690円(全額)→ 345円(本人)

合計本人負担:15,120円/月

パート・アルバイトの方も、一定条件を満たせば加入対象になります。 従業員51人以上の企業で、週20時間以上勤務・月額賃金8.8万円以上・雇用期間2ヶ月超といった要件を満たすケース。 さらに2026年10月からは106万円の賃金要件が撤廃される予定で、対象者の幅がもう一段広がります。

40歳になる前日から、介護保険料が静かに加わる

次の節目は40歳。給与明細をよく見ると、介護保険料という新しい行が静かに加わる時期です。 正確には40歳の誕生日の前日が属する月から徴収開始。6月1日生まれの方なら5月分から、6月2日生まれの方なら6月分から——という、微妙だけど大事なルールです。

介護保険料率は、令和8年度で1.62%。健康保険料と同じく労使折半で、本人負担は半分の0.81%相当。 ただ、料率としては小さく見えても、標準報酬月額が大きくなるほど絶対額の差は広がります。

年齢区分健康保険料介護保険料子ども支援金
39歳以下×○(R8〜)
40〜64歳○(1.62%)○(R8〜)
65〜69歳×(別途徴収)○(R8〜)
70〜74歳×(別途徴収)×

計算例:東京都・45歳(介護保険あり)・標準報酬月額300,000円

健康保険料:300,000 × 9.85% = 29,550円(全額)→ 14,775円(本人)

介護保険料:300,000 × 1.62% = 4,860円(全額)→ 2,430円(本人)

子ども支援金:300,000 × 0.23% = 690円(全額)→ 345円(本人)

合計本人負担:17,550円/月(35歳と比べて+2,430円)

介護保険料は65歳到達月の前月分まで徴収されて、65歳からは年金から天引きされる特別徴収に切り替わります。 70歳になると厚生年金の被保険者資格は終了し、健康保険料のみが続く。74歳までは健康保険、75歳からは後期高齢者医療制度——という具合に、年齢を重ねるたびに保険料の構成が少しずつ変わっていきます。 年齢の節目をまたぐ月は、給与明細の数字をいつもより念入りにチェックしておくと安心です。

都道府県で料率は0.1ポイント以上違う——勤務地ではなく事業所所在地

協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに違います。地域ごとの医療費水準を反映する仕組みで、医療費が高い地域ほど料率も高くなる、という設計です。

注意:料率の判定は勤務地ではなく、届出上の事業所所在地で決まります。 全国転勤がある会社で、たまたまその月は遠方の支店にいた——としても、適用される料率は本社所在地の都道府県のものです。

都道府県保険料率都道府県保険料率
北海道10.28%大阪府10.13%
宮城県10.10%兵庫県10.12%
東京都9.85%広島県9.78%
神奈川県9.92%福岡県10.11%
愛知県9.93%沖縄県9.44%
新潟県(最低)9.21%佐賀県(最高)10.55%

※ 令和8年度の全国平均は9.90%。最低は新潟9.21%、最高は佐賀10.55%で、その差は約1.3ポイント。

新潟(9.21%)と佐賀(10.55%)では1.3ポイント以上の開きがあります。標準報酬月額30万円なら、本人負担分だけで月2,000円超の差。年間で2万円以上の違いです。 会社の本社が引っ越したり、新拠点に統合されたりすると、料率が一気に変わる可能性もあるので、所属事業所の所在地は確認しておきましょう。

自分の都道府県と年齢で、健康保険料を試算する

47都道府県対応・年齢区分自動判定・令和4〜8年度の保険料率を収録

令和8年度の改定——「子ども・子育て支援金」と34年ぶりの引き下げ

令和8年度の改定は、大きな2つのニュースがありました。 ひとつは「子ども・子育て支援金」0.23%の新設。もうひとつは、健康保険料率そのものが34年ぶりに引き下げられたこと。 新設の支援金は加算ですが、料率の引き下げと差し引きすると、東京都の場合で全体としてはほぼ横ばい——というのが実情です。

年度健康保険料率介護保険料率支援金率備考
令和4年度9.81%1.64%
令和5年度10.00%1.82%料率引き上げ
令和6年度9.98%1.60%
令和7年度9.91%1.59%
令和8年度9.85%1.62%0.23%支援金新設・34年ぶり引き下げ

新顔の子ども・子育て支援金は、似た名前の「子ども・子育て拠出金(0.36%・全額事業主負担)」とはまったく別の制度です。 支援金は労使折半で、被保険者本人も0.115%相当を負担します。

項目子ども・子育て支援金子ども・子育て拠出金
料率0.23%0.36%
負担労使折半(本人50%)全額事業主負担
開始年度令和8年度〜従来より継続

ボーナス・産休・パート——例外パターンを押さえる

最後に、毎月の給与とは違う「例外」を整理しておきましょう。

まずボーナス。賞与にも健康保険料・介護保険料・支援金がかかります。基本ロジックは月額と同じですが、計算の基礎になるのは標準賞与額——賞与の支給額から1,000円未満を切り捨てた金額です。 さらに年度累計573万円という上限があり、これを超えた部分は保険料の計算対象になりません。 高額賞与が出る年は、この上限ラインを意識しておくと手取りの読みが立てやすくなります。

次に産休・育休中。届出により、健康保険料は本人・事業主ともに免除されます。 免除期間中も被保険者資格は継続するので、傷病手当金や出産手当金などの給付はそのまま受けられます。 手続きは事業主が行う仕組みなので、産休に入る前に勤務先の総務に確認しておきましょう。

最後にパート・アルバイト。前述のとおり、従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務・月額賃金8.8万円以上・雇用期間2ヶ月超といった要件を満たす場合は加入対象です。 2026年10月からは106万円の賃金要件が撤廃される予定で、対象者の枠がさらに広がります。 家族の扶養に入っているパート勤務の方は、勤務先の人数規模と自分の労働時間を改めて確認するタイミングです。

最後にひとつ、似ているけれど別物の制度を補足しておきます。国民健康保険は自営業者などが加入する制度で、保険料は全額自己負担、計算ベースは前年所得。 健康保険にある傷病手当金や出産手当金は国保にはありません。会社員から自営業へ、あるいはその逆へ転じるときは、保険料の負担構造が大きく変わる点に留意しましょう。

【免責事項】

本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づいています。 保険料率は毎年改定されるため、最新の料率は全国健康保険協会のWebサイトでご確認ください。 本記事の情報に基づく不利益について、当サイトは責任を負いかねます。

参考資料

  • ・全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率改定について」
  • ・全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」
  • ・日本年金機構「保険料の計算方法について」
  • ・厚生労働省「子ども・子育て支援金に関するQ&A」

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