毎月の給与明細で天引きされている「健康保険料」。正確な金額をご存じですか? 健康保険料は都道府県ごとに料率が異なり、年齢によって介護保険料が加算される仕組みです。 さらに令和8年度からは「子ども・子育て支援金」が新設されました。 本記事では、協会けんぽの健康保険料の計算方法・早見表・注意点を完全解説します。
1. 健康保険制度の基礎知識
健康保険は、会社員や公務員が業務外の病気・けが・出産・死亡に備える公的医療保険制度です。 国民健康保険(自営業者等が加入)とは異なり、保険料は事業主と被保険者が折半(労使折半)で負担します。
保険者の種類
| 保険者 | 対象者 | 特徴 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ | 主に中小企業の従業員 | 加入者数最多、都道府県ごとに料率が異なる |
| 組合健保 | 大企業の従業員 | 各組合が独自に料率を設定 |
本記事では加入者数が最も多い協会けんぽ(全国健康保険協会)の計算方法を解説します。
加入条件
- 適用事業所に常時使用される75歳未満の従業員
- パートタイマーは所定労働時間が正社員の3/4以上で対象
- 週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上等の要件を満たす短時間労働者も対象(従業員51人以上の企業)
- 2026年10月からは106万円の賃金要件が撤廃予定で対象者がさらに拡大
2. 標準報酬月額の仕組み

(標準報酬月額等級表イメージ)
標準報酬月額とは、毎月の報酬を50の等級に区分した金額です。 健康保険料は、この標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。
50等級の早見表(主要等級を抜粋)
| 等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額の範囲 |
|---|---|---|
| 1 | 58,000円 | 〜63,000円未満 |
| 5 | 98,000円 | 93,000〜101,000円未満 |
| 10 | 134,000円 | 130,000〜138,000円未満 |
| 17 | 200,000円 | 195,000〜210,000円未満 |
| 22 | 300,000円 | 290,000〜310,000円未満 |
| 27 | 410,000円 | 395,000〜425,000円未満 |
| 30 | 500,000円 | 485,000〜515,000円未満 |
| 35 | 650,000円 | 635,000〜665,000円未満 |
| 40 | 830,000円 | 810,000〜855,000円未満 |
| 45 | 1,090,000円 | 1,055,000〜1,115,000円未満 |
| 50 | 1,390,000円 | 1,355,000円以上 |
※ 全50等級の完全な一覧は計算ツールでご確認いただけます。
報酬に含まれるもの・含まれないもの
| 対象となる報酬 | 対象外の報酬 |
|---|---|
| 基本給 | 退職金 |
| 残業手当・休日手当 | 大入袋(恩恵的なもの) |
| 通勤手当 | 結婚祝金・災害見舞金 |
| 住宅手当・家族手当 | 出張旅費・赴任旅費 |
| 賞与(ボーナス)※別計算 | 年3回以下の賞与は標準賞与額で別計算 |
標準報酬月額の決定方法
資格取得時決定(入社時)
入社時の見込み報酬額から標準報酬月額を決定します。
定時決定(算定基礎届)
毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額から等級を決定し、9月から翌年8月まで適用します。
随時改定(月額変更届)
昇給・降給などで固定的賃金が大きく変動し、3か月間の平均が2等級以上変わった場合に改定されます。
3. 都道府県別の保険料率(令和8年度)
協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なります。 これは各地域の1人あたり医療費水準を反映した仕組みで、医療費が高い地域ほど保険料率が高くなります。
注意:健康保険料率は、勤務地ではなく届出上の事業所所在地の都道府県の料率を使用します。
令和8年度 主要都道府県の保険料率
| 都道府県 | 保険料率 | 都道府県 | 保険料率 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 10.28% | 大阪府 | 10.13% |
| 宮城県 | 10.10% | 兵庫県 | 10.12% |
| 東京都 | 9.85% | 広島県 | 9.78% |
| 神奈川県 | 9.92% | 福岡県 | 10.11% |
| 愛知県 | 9.93% | 沖縄県 | 9.44% |
| 新潟県(最低) | 9.21% | 佐賀県(最高) | 10.55% |
※ 令和8年度の全国平均は9.90%で、34年ぶりの引き下げとなりました。全47都道府県の料率は計算ツールで確認できます。
東京都の保険料率推移(過去5年)
| 年度 | 健康保険料率 | 介護保険料率 | 支援金率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 9.81% | 1.64% | — | |
| 令和5年度 | 10.00% | 1.82% | — | 料率引き上げ |
| 令和6年度 | 9.98% | 1.60% | — | |
| 令和7年度 | 9.91% | 1.59% | — | |
| 令和8年度 | 9.85% | 1.62% | 0.23% | 支援金新設・34年ぶり引き下げ |
4. 年齢区分と介護保険料

(年齢区分と保険料の仕組み)
健康保険料は年齢によって構成が変わります。特に40歳以上65歳未満の方は介護保険料が加算されるため、手取り額に大きく影響します。
| 年齢区分 | 健康保険料 | 介護保険料 | 子ども支援金 |
|---|---|---|---|
| 39歳以下 | ○ | × | ○(R8〜) |
| 40〜64歳 | ○ | ○(1.62%) | ○(R8〜) |
| 65〜69歳 | ○ | ×(別途徴収) | ○(R8〜) |
| 70〜74歳 | ○ | ×(別途徴収) | × |
介護保険料の開始タイミング
介護保険料は40歳の誕生日の前日が属する月から徴収が始まります。 例えば、6月1日生まれの方は5月分から(前日の5月31日が属する月)、6月2日生まれの方は6月分から徴収されます。 65歳以降は年金から天引き(特別徴収)に切り替わります。
5. 令和8年度の新制度:子ども・子育て支援金
令和8年度から、健康保険料に「子ども・子育て支援金」0.23%(全国一律)が新たに加算されました。 これは既存の「子ども・子育て拠出金」とは異なる制度です。
| 項目 | 子ども・子育て支援金 | 子ども・子育て拠出金 |
|---|---|---|
| 料率 | 0.23% | 0.36% |
| 負担 | 労使折半(本人50%) | 全額事業主負担 |
| 開始年度 | 令和8年度〜 | 従来より継続 |
6. 保険料の計算方法(3ステップ)
基本の計算式
健康保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 × 1/2(本人負担分)
Step 1:報酬月額 → 標準報酬月額を決定
50等級の標準報酬月額等級表に当てはめます。例えば報酬月額が295,000円なら、第22等級の300,000円が標準報酬月額となります。
Step 2:標準報酬月額 × 保険料率 = 保険料(全額)
適用する料率は以下の合算です:
- 健康保険料率(都道府県別)
- + 介護保険料率 1.62%(40〜64歳のみ)
- + 子ども・子育て支援金率 0.23%(令和8年度〜)
Step 3:保険料 × 1/2 = 本人負担額
端数処理:50銭以下切り捨て、50銭超切り上げ(源泉控除の場合)
計算例1:東京都・35歳・標準報酬月額300,000円
健康保険料:300,000 × 9.85% = 29,550円(全額)→ 14,775円(本人)
子ども支援金:300,000 × 0.23% = 690円(全額)→ 345円(本人)
合計本人負担:15,120円/月
計算例2:東京都・45歳(介護保険あり)・標準報酬月額300,000円
健康保険料:300,000 × 9.85% = 29,550円(全額)→ 14,775円(本人)
介護保険料:300,000 × 1.62% = 4,860円(全額)→ 2,430円(本人)
子ども支援金:300,000 × 0.23% = 690円(全額)→ 345円(本人)
合計本人負担:17,550円/月(35歳と比べて+2,430円)
7. 賞与(ボーナス)の保険料
賞与にかかる保険料の計算方法は、基本的に月額と同じです。ただし、以下の点が異なります:
- 標準賞与額 = 賞与支給額の1,000円未満切り捨て
- 年度累計上限:573万円(上限を超えた分は保険料の計算対象外)
- 保険料率は月額と同じ(都道府県別健康保険料率 + 介護保険料率 + 支援金率)
よくある質問(FAQ)
Q. 協会けんぽと組合健保の違いは?
Q. 介護保険料は何歳から引かれる?
Q. 標準報酬月額はいつ変わる?
Q. 通勤手当は報酬に含まれる?
Q. 産休・育休中の保険料は?
Q. パート・アルバイトも加入する?
Q. 子ども・子育て支援金とは?
Q. 国民健康保険との違いは?
まとめ
- 協会けんぽの健康保険料は都道府県ごとの料率 × 標準報酬月額で算出、労使折半で負担する。
- 標準報酬月額は50等級(58,000円〜1,390,000円)に区分され、毎年9月に定時決定で改定される。
- 40歳〜64歳は介護保険料(1.62%)が加算され、手取りが減少する。
- 令和8年度から子ども・子育て支援金(0.23%)が新設。拠出金(0.36%、事業主のみ)とは別制度。
- 賞与は1,000円未満切り捨ての標準賞与額で計算、年度累計573万円が上限。
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【免責事項】
本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づいています。 保険料率は毎年改定されるため、最新の料率は全国健康保険協会のWebサイトでご確認ください。 本記事の情報に基づく不利益について、当サイトは責任を負いかねます。
参考資料
- ・全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率改定について」
- ・全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」
- ・日本年金機構「保険料の計算方法について」
- ・厚生労働省「子ども・子育て支援金に関するQ&A」
